伸びしろ十分の19歳 テコンドー 平林霞

2020に懸ける長崎県勢 File.10

©株式会社長崎新聞社

「世界大会で圧勝する姿を見せたい」と語る平林=長崎市、長崎新聞社

 強化体制などを巡って選手との対立が表面化している全日本テコンドー協会。日本オリンピック委員会(JOC)からも早急な組織整備を要請され、臨時理事会で理事の総辞職が決議されるほど混乱状態が続いている。そんなごたごたに「惑わされず」に、伸びしろ十分の19歳、平林霞は真っすぐに東京五輪を見据えている。

■世界を転戦
 5歳から長崎市内の森道場で始めたテコンドー。「圧勝するのが楽しい」とはまっていった。海星高1年時に日本選手権女子62キロ級で優勝。連覇した2年時は世界選手権を経験した。175センチの長身から繰り出す上段蹴りを武器に目覚ましい躍進を遂げ、五輪を意識するようになった。
 勝負をすると決めた五輪の階級は57キロ。減量して挑んだ3年時の日本選手権で優勝すると、早大進学後はユニバーシアード、世界選手権など国際大会を転戦した。上位入賞はできなかったが「強敵のセルビア選手を倒して世界大会初勝利できたのはうれしかった」。高校時代は苦手だったパンチも上達。一歩ずつ前に進んできた。
 今月上旬、東京五輪に開催国枠で日本代表を派遣する階級が男子58キロ級、68キロ級、女子49キロ級、57キロ級に決定。来年2月の最終選考会で勝てば、切符をつかめる位置まできた。「去年までぼんやりしていた夢が現実味を帯びてきた」

■感謝を胸に
 国内最大のライバルは元世界王者の浜田真由(ミキハウス)。2012年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪の配信映像を見て「めっちゃ応援していた憧れの存在」だ。最近は手術した股関節のリハビリに専念しているが、越えなければならない壁となるのは間違いない。
 勝つためには試合前の減量が課題となる。ぎりぎりで計量を通過し、本番で力を発揮できない大会もあった。プレー面では「蹴りが単調になる時がある。自分の持ち味をもっと生かせるような試合の仕方を練習していきたい」
 拠点として通っているのは、強い選手が集まる大東大。女子49キロ級の山田美諭(城北信用金庫)をはじめ「代表レベルの人がいっぱいいる。毎日が代表合宿みたい」。しばらくは筋力トレーニングに力を入れ、しなやかで強い体をつくりながら、実戦形式の練習を積んでいくつもりだ。
 勝負のときまで厳しい日々は続くが、海星高時代の仲間たちも応援してくれている。すでに東京五輪のチケットを取ってくれた人もいた。「遠征や合宿で、ほぼほぼ学校にいない生徒会長だった。ノートを見せてくれたりして支えてくれた。先生も応援してくれた。みんなに勝ったよと報告したい」。日本テコンドー界の新星は、感謝の思いも胸に夢の切符を取りにいく。

 【略歴】ひらばやし・かすみ 5歳の時、友人に誘われて長崎市内の森道場でテコンドーを始める。小島小3年の全日本ジュニア選手権で優勝、2016年世界ジュニア選手権出場。17、19年は世界選手権日本代表に選ばれた。全日本選手権は17、18年に62キロ級で2連覇、19年は57キロ級で優勝。19年ユニバーシアード日本代表。息抜きは母との「ドライブぶらり旅」。175センチ、57キロ。19歳。長崎市出身。