箱根山、地震回数昨年の10倍 温地研が火山活動を総括

研究成果発表会の冒頭、あいさつする温地研の加藤照之所長=小田原市民会館

 箱根山(神奈川県箱根町)の監視を担う県温泉地学研究所は8日、約4カ月半にわたり噴火警戒レベル2(火口周辺規制)となった今春以降の火山活動について、「昨年の同じ時期と比べると、地震の回数は約10倍だった」と報告した。

 小田原市内で開いた研究成果発表会で、瀧沢倫明火山対策調整官が活動を総括した。

 報告によると、温地研が今年2~9月に捉えた地震の合計回数は1124回。105回だった昨年同時期の約10倍だった。一方、観測史上初の小噴火に至った15年は同じ期間で1万2千回を超えており、活動の活発度は今回を大きく上回っていたという。

 箱根山では今年3月から山体膨張の地殻変動が観測され始め、大涌谷周辺で地震が多発。さらに増えた5月に気象庁が噴火警戒レベルを2に引き上げたが、地震の減少などを受け、10月に1(活火山であることに留意)に下げられている。

 発表会ではこのほか、大涌谷直下や箱根山全体の地下構造などに関する研究成果も報告。4年前に噴火に至ったプロセスなどが解説された。

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