DeNA濱矢が6回無失点でメキシコWL初勝利 ラーメン&餃子で腹を満たして登板

メキシコのウインターリーグに参加しているDeNA・濱矢廣大【写真:球団提供】

6回2死まで無安打投球「納得いく直球を投げられない中で抑えられた」

 メキシコのウインターリーグに参加し、ベナードス・デ・マサトランでプレーしている横浜DeNAベイスターズの濱矢廣大投手が8日(日本時間9日)、敵地で行われたアギラス・デ・メヒカリ戦に先発し、6回1安打無失点で初勝利を挙げた。チームは5-1で勝利。濱矢はここまで3試合、計15イニングを投げ、1失点、防御率0.60と安定した数字を残している。

 アメリカとの国境にある敵地メヒカリで、1万1479人の観衆を前に、濱矢がコツコツとアウトの山を築いた。5回までは二塁も踏ませぬ好投。6回には2者連続四球で無死一、二塁とし、2死を奪った後、この日初安打となる遊撃への内野安打を許し、満塁のピンチを迎えたが、後続を打ち取り、得点は与えず。4回1失点だった前々回、5回無失点だった前回登板に続き、今回も6回86球としっかりと試合をつくり、先発としての役割を果たした。
 
「前回よりもボールにバラつきはあった。マウンドが硬く、ボールも滑ったり形が変わったりしているものもあって、同じ直球を投げてもカットしたりシュートしたりして、投げていて驚きましたが、その環境にアジャストするしかなかった。納得いく直球が投げられない中で、スプリットでカウントを取ったり、空振りを取ることができたので、今日は抑えることができた。イニング数がどんどん増えているのもよかったと思う」

 この日は移動ゲームだった。濱矢はマサトランの自宅を朝7時に出発し、チームバスで約2時間かけてクリアカンまで移動。その後、飛行機でメヒカリに飛んだ。だが、便が約1時間遅れたこともあり、チーム宿舎に着いたのは午後4時。そこから球場に向かい、試合に臨むというハードスケジュールだった。日本のプロ野球は、移動日に敵地で投げる先発投手は前日に先乗りするのが一般的だが、メキシコにはその習慣はなく、チーム移動が基本。当然、移動疲れはゼロではなかったが、与えられた環境の中でしっかりと結果を残した。

 食の楽しみもあった。メヒカリは中国からの移民が多い街として知られ、市内にはメキシコながら中華料理店が数多く存在。メキシコで最も中華料理が美味しい街と言われている。濱矢もハードスケジュールの合間を縫って、試合前にラーメンと餃子を堪能。「普通に美味しかったです」と、今回は慣れ親しんだアジア飯で胃袋を満たし、マウンドに上がっていた。

異国文化にも順応「DeNAも明るいけど、メキシコはもっと明るい」

 メキシコでは、落ちる球の精度を高めることも課題の1つだという。「メキシコの打者は積極的に打ってくるので、ストライクゾーン内で勝負していけば、球数も少なくて済む。その中で落ちる球が有効になる。スプリットも高さを間違えなければ振ってくれる」。この日奪った三振は4つだったが、ここまで3試合で計16奪三振。スプリットの効き目は早くも数字にも表れている。

 日本とは言葉も文化も違う異国の地だが、メキシコ人選手たちとの触れ合いも楽しんでいる。ホームスタジアムでは、今夏、ブラボス・デ・レオンでプレーした久保康友投手とチームメイトだったジョン・デル・カンポ内野手がロッカーが隣。デル・カンポをはじめ、選手たちは覚えたての日本語で積極的に話しかけてくれるといい「ロッカーでは皆、フレンドリーでにぎやか。DeNAも明るい雰囲気ですが、メキシコはもっと明るい。やりやすい環境をつくってくれています」と、滞在わずか約3週間ながら、早くもメキシコに馴染んでいるようだ。

 今夏、久保のいたレオンでヘッドコーチを務め、マサトランでは一塁コーチを務めるポルフィリオ・メンドーサコーチも「日本にはいい投手が多いが、ハマヤもとてもいい球を投げている」と絶賛した。勝ち投手になったことで、試合後には地元メディアからもインタビューを受けた濱矢。チームは前期リーグここまで11勝13敗で、10チーム中6位タイと中位に留まっているが、濱矢はこの状況を抜け出すための助っ人左腕としての期待を背負っている。(Full-Count編集部)

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