セントラル・ラリー愛知・岐阜走行初日、ヤリスWRC操る勝田は「日本特有の道」走る難しさ痛感

 セントラル・ラリー愛知/岐阜2019は11月9日、SS1〜6までが行われる競技初日を迎え、唯一WRカーで参戦している勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)が総合首位につけた。走行を終えた勝田貴元は「日本特有の道」を最新WRカーで走る難しさを明かすとともに「リエゾン(移動区間/ロードセクション)にもたくさんの人がいて声援を送ってくれていたころがうれしかった」と語った。

 2020年11月に愛知・岐阜の両県を中心に開催されるWRC世界ラリー選手権第14戦『Rally Japan(ラリー・ジャパン)』を見据えたリハーサルイベントのセントラル・ラリー愛知/岐阜。競技初日は予定されていた6SSのうち、SS5の“Nukata 2”は「交通状況悪化」によりキャンセルされ、計5SSで争われた。

 初日終了時点での国際格式部門、暫定結果は唯一WRカーで参戦している勝田貴元が32分53秒7でトップ。1分31秒7差の2番手に新井大輝(シトロエンC3 R5)、2分45秒2差の3番手に福永修(シュコダ・ファビアR5)と続いた。

 主に全日本ラリー選手権を戦うドライバーが参戦している国内格式部門では鎌田卓麻、勝田範彦、新井敏弘のスバルWRX STI勢がトップ3を独占している。

 初日を終えて総合トップにつけた勝田貴元は「このクルマ(ヤリスWRC)だとロースピードとはいえ、加速も鋭いので、昔よりは良くなっていますけど、ペースノートももっともっと改善できる点があるなと感じました」と走行をふり返った。

「日本特有の道を走った印象というか、朝の1本目(SS1の“Nukata 1”)はナローな(道幅の狭い)セクションが難しくて。午後はどうなるかと思っていたらキャンセルになりました。残念でもあり、ラッキーでもありという感じでしたね」

「このクルマであの区間を攻めるとなると、かなりリスクが大きい。どう走るのがベストなのか、リスクマネージメントも難しいところだったので、来年のラリー・ジャパンに向けてチェックできればよかったんですけど。でも1本目を走って、どれくらい“ヤバいか”もわかりました」

「午後は2本のステージだけでしたけど、セットアップを変えて臨みました。日本特有のツイスティでスピードもそこまで高くない道なので、リヤの踏ん張りは必要なく、フロントがしっかり入ってスムーズに曲がってくれればいいというセッティングが必要だと思います」

「ひとつの収穫はタイヤが温まりきらなかった場所があるとわかったこと。道幅が狭く、かつ滑りやすい場所があると、しっかりブレーキングするとタイヤがロックしてしまうので、十分な圧をかけられませんでしたね。SS1は14kmほどあるんですけど、フィニッシュにたどり着くまで温まりませんでした」

 今回のセントラル・ラリーには地元自治体や住民も協力しており、観戦エリアには五平餅やイワナなど、地元の名産を扱う出店なども出店していたほか、早朝から多くのファンや地元の人々が集まって走行を見守っていた。

 そのなかには親子三世代で観戦しているグループも見られ、「来年(のラリー・ジャパン)が楽しみ」といった感想が聞かれたほか、ラリーカーが通過するまでは広場を走り回っていた子どもが、ヤリスWRCの爆音と走りに圧倒される姿も見られるなど、今までラリーやモータースポーツに縁遠かった人々の興味も掘り起こすイベントとなっている。

 また勝田貴元は「リエゾンにもたくさんの人がいて声援を送ってくれていました。ステージで長い時間待っていただいている方にももちろんですが、リエゾンにもファンがいるとラリーカーが街なかを走っていても『なにかの競技なんだ』『ファンがいるような競技なんだ』という認識が広まると思うので、そういった意味でも感謝したいです」としたほか、新井大輝、ヘイキ・コバライネン(トヨタ86)からもリエゾン区間にいるファンの多さに驚いたという言葉が聞かれた。

 セントラル・ラリー愛知・岐阜2019の競技2日目となる10日(日)は、SS7〜14までの全8SSが行われる予定。このうちSS10〜11はサービスパークが置かれる愛・地球博記念公園(モリコロパーク)を舞台としたステージで、公式YouTubeチャンネルでのライブ配信も予定されている。

勝田貴元のトヨタ・ヤリスWRC
勝田貴元のトヨタ・ヤリスWRC/SS2 Mikawako1
新井大輝のシトロエンC3 R5
ヘイキ・コバライネンのトヨタ86
福永修のシュコダ・ファビアR5
TOYOTA GAZOO Racingのテントにはマシンの整備をひと目見ようを多くの観客が集まった
サービスパークで整備されるトヨタ・ヤリスWRC
シトロエンC3 R5でセントラル・ラリー愛知/岐阜に参戦している新井大輝
新井敏弘(スバルWRX STI)
勝田範彦(スバルWRX STI)
TOYOTA GAZOO Racingのチーム代表、トミ・マキネン

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