世界が取り組むSDGsと企業経営の密接な関係性とは?

 元号が変わった今年の特筆すべきニュースといえば、やはり異常気象による自然災害ではないだろうか。諸説存在するが、やはり地球温暖化が影響しているという専門家の意見が目立つ。地球温暖化問題以外にも、海洋汚染問題や飢餓問題、格差問題など、この地球が抱える問題は数多い。そういった数多くの地球規模の問題に対して、SDGsの取り組みが重要になってくる。

 地球全体で抱える問題を「17の目標」と「169のターゲット」に分類し、持続可能な開発目標として掲げるSDGsは、世界規模で取り組まれている。2018年7月にベルテルスマン財団とSDSNから発表されたSDGs達成ランキングにおいて日本は156カ国中15位。一見上位に見えるのだが、達成していると認識されている項目は「1つ」と決して高くない。

 SDGsの取り組みを加速させなければならないのは、日本政府だけではない。国連で発言もあった通り、企業の価値が財務情報のみならず、SDGsへどのようなアプローチをしているのかも注目されるようになった。投資を受ける日本企業にとって、SDGsは最重要項目の一つとして捉えられているのだ。

 いくつか具体例を挙げると、食品ロスの観点から取り組んでいるのが、森永乳業株式会社〈2264〉だ。飲料を完全に滅菌し、アルミ付きの紙パックで密閉性を高め、腐敗を防ぐ「ロングライフ製法」は、飲料の長期保存を可能にし、種類によっては4カ月の賞味期限を実現している。長期保存が食品ロスを軽減するという取り組みである。

 リサイクルの観点からアプローチしているのが、株式会社ファーストリテイリング〈9983〉である。2006年から全商品リサイクルを開始している同社は、着なくなった衣服を回収し、燃料や電気エネルギーとして再利用するだけにとどまらず、近年では難民を含めた衣服を求めている方々に届けるという方針をとっている。

 海洋プラスチック問題や森林保全の観点からアプローチしているのが、株式会社アキュラホームだ。プラスティックのストローによる自然破壊が注目される中、世界初のカンナ削りの木のストローの開発、普及を推進している。木造住宅メーカーならではのアプローチとも言えよう。素材に国産の間伐材を利用することで、海洋にも森林にも優しい製品となっている。

 また、企業がSDGsに取り組むことにより、その企業内の部署や課、社員同士でもSDGsに対する関心や意識も高まるだろう。SDGsは地球に住む全ての人間が意識すべき目標だ。これから先の企業経営はSDGs抜きには語れないようになってくるのではないだろうか。(編集担当:今井慎太郎)

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