児童虐待に立ち向かう著名研究者・担当者の"現場の知恵"満載。『子を、親を、児童虐待から救う』刊行!

11月13日に『子を、 親を、 児童虐待から救う-先達32人 現場の知恵』が刊行される。 子ども福祉に関わる人々に役立つ、 児童虐待防止のための“現場の知恵”を、 関係全分野の第一人者が教える。

■本書の特徴

1.児童虐待対応に取り組む、 関係全分野の第一人者による書き下ろし。

2.児童虐待の現場に具体的な知見・指針を送る。

3.虐待死事件から学ぶ視点を送る。

児童虐待の兆候をどのように見出すか。 児童虐待の疑われるケースに遭遇したときにどのように対処するか。 相次ぐ事件を受け、 令和元年に改正された児童福祉法・児童虐待防止法等により、 どのような対応が現場で求められることになるのか。

目黒事件、 野田市事件、 札幌市事件といった国を動かした三大虐待死事件のほか、 執筆者が取り扱った様々なケースから、 現在の児童虐待対応における課題の対応策を具体的に示します。 福祉、 保健、 医療、 心理、 保育、 教育など、 子ども福祉に関わるすべての人、 とりわけ現場の担当者に送る指南書となっています。

「はじめに」より

今筆者は、 何度も野田市虐待死事件の栗原心愛ちゃんの人生を一緒に歩んでいる。 また札幌市虐待死事件の池田詩梨ちゃんの人生も一緒に歩んでいる。 両虐待死事件の事実検証・再発防止の検証委員の一員として、 記録を丁寧に、 何度も読み返し、 関係者にヒアリングをし、 自分で現地を歩いてみたりしている。

子ども達の決して長くはなかった人としての人生を、 本人になってみて、 追体験をしてみる。 また、 親(父や母や親族)の立場になり、 その後、 県や市や関係行政機関の立場になり、 近所の人になり、 という形で、 視点を変え、 追体験をし、 考えを巡らす。 記録を読んでいると、 様々な場面で、 関係する誰かが、 どこかで、 もう一歩踏み込んだ言葉かけなどを行っていたら、 彼女達の人生は続いていたのではないかと、 そう思う場面はむしろ死の直前ではなく、 はるか前にこそ複数ある。 ……

児童虐待の防止は、 児童福祉分野の中でも特に、 医療、 保健、 福祉、 教育、 法律等様々な知見が求められる。 そして、 全人力を鍛えていかねばならない。 保護者とは基本的に対立関係で始まる難しい職務である。 児童虐待の現場は、 マニュアルでどうにかなるものでない。 真に人間と人間が向き合い、 テクニックではなく、 全人格を震え合わせるような関わりが、 是か非かの次元を超えて、 実際に求められるのである。

自治体の仕事の中で、 これだけ、 多角的で深い知識が求められ、 かつ、 保護者等からの罵倒等が日々繰り返されるタフな世界はない。 こんなにも直接命と向き合い、 苦しく、 辛い仕事は他にないといえる。

しかし、 それだからこそ、 自治体が公助として最後まで取り組まねばならない分野なのである。 「自分たちの一歩」が「子どもたちの命(将来)と養育者を救う」のである。 担当する職員の責任は重いが、 全人力が試されるこの仕事のやりがいは計り知れない。

本書を通して、 自分を見直し、 引き出しを増やしていってほしい。

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