有名珍スポット「まぼろし博覧会」に憧れた男が、自宅にDIYで作ってしまった! その名も『まやかし展覧会』|Mr.tsubaking

この連載でも何度か書いていますが、珍スポットは「どうかしてるたった一人がつくるもの」です。そのため基本的には一代限りのものが多く、そのどうかしてる人が亡くなるなどしたら、誰かが引き継ぐなんてことはほとんどなく廃れていくばかりなのです。

しかし今回ご紹介するのは「珍スポットに憧れて生まれた珍スポット」。つまり、たった一人のどうかしてる感覚が他へと感染して、新たな珍スポットを生んだのです。

まずは「憧れられた方」の珍スポット。

こちらは、あまりにも有名になりましたので、ここでは簡単にだけご紹介しておきます。

静岡県伊東市にある「まぼろし博覧会」です。ここも「どうかしてるたった一人」が生み出したものですが、規模が個人のレベルをはるかに超えています。

植物園を思わせるような巨大ドームの中にいるのは、なんと高さ15m(鎌倉大仏より大きい!)の聖徳太子。全体で1万4500平方メートルもの広大な敷地に数万の珍なグッズが詰め込まれています。あまりの規模からネット上でも話題となり、現在では年間3万人が来場する、伊豆半島の定番スポットのひとつにまでなりつつある場所です。

この「まぼろし博覧会」に憧れて生まれた珍スポットがあるのです。

千葉県にあるなんの変哲もない住宅街、まぼろし博覧会のように幹線道路沿いにあるわけではないので、通りすがりにふと気になって立ち寄ることは不可能な場所に、それはあります。普通の一軒家の敷地にあらわれる「まやかし展覧会」の文字。

命名センスも、ものまねタレントのような感覚。近づいていくと、そこそこハッピーそうな風貌をした主人が出てきました。

(左は筆者だが、偶然にもハッピー度が同じくらいだ)

彼はじゃんぼちゃん。本家のまぼろし博覧会でも創設者である鵜野義嗣氏が、水色のウィッグにセーラー服かビキニ姿で現れ「セーラちゃん」として接客してくれます。体が大きいからという理由で名付けたというじゃんぼちゃんは、そのスタイルも踏襲しているのです。

400円の入館料を払って中へ入ってみます。敷地の中で、家の建っていないわずかな隙間に強引に建てられたプレハブに、ビッシリつめこめられたアメリカントイ。雑貨屋をしていたという経歴が生かされており、凝縮っぷりは確かに本家を彷彿とさせます。

それだけでは、サイコっぷりが足りない感じがしますが、奥にまわると徐々にサイコとカオス度合いが増してきます。

驚くべきは、これらほとんど全てがじゃんぼちゃんの手作りだということ。出版社社長でもあるセーラちゃんがオブジェを「購入」するのに対し、じゃんぼちゃんはDIY精神で世界を作り上げていきます。写真奥に見えるポストやカッパも手作り。

そこには、本家でもお馴染みのレトロ・エログロ・オカルト・ナンセンスがしっかり入っています。とはいえ、手作りなので全体的に温もりと愛嬌が感じられるのがグッとくるポイント。

気になるのが、自宅でこんなことをして家族はどうしているのかということ。じゃんぼちゃんは、お母様とこの一軒家に同居しているのです。お母様は、反対も賛成もしていないということですが、じゃんぼちゃんが一軒家の一室にまで、まやかし展覧会を拡大させようとしたところ「それは勘弁してくれ」と断られのだそう。

開館しているのが、月のうち数日で営業時間も短いこともあって、年間3万人を集める本家に対し、こちらは週に数人の来場者とのこと。

それでも今日もDIYで、あこがれの「まぼろし博覧会」を目指して拡大を続けるじゃんぼちゃんと「まやかし展覧会」。

取材したのは今年の初夏なので、現在はさらにパワーアップした姿が見られます!サイトを見ると、本家の入場門を模したものまで作ってしまった模様。

栗田貫一だって、ルパン三世のモノマネをし続けたら、本家声優のあとを継ぐことになりました。この、まやかし展覧会だっていつかはそうなるかもしれません!

台風と大雨の被害の大きかった千葉県の方には、心よりお見舞い申し上げます。私のこうしたスポット紹介で、千葉県を訪れる人が増え少しでも(本当に少しですが)復興の一助になればと思います。(Mr.tsubaking連載 『どうした!?ウォーカー』 第45回)

■まやかし展覧会

千葉県東金市福俵485

開館日:一般開放=第一日曜(予約不要)、予約での開放=日〜金曜

営業時間:10:00〜15:00

休館日:土曜日

予約:mayakashi.tenrankai@gmail.com

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