DeNA関根、異国の地で見せ始めた適応能力 初1番で2安打「やっと日本と同じ感覚で…」

ヤキス・デ・オブレゴンでプレーしているDeNA・関根大気【写真:福岡吉央】

初の1番起用で4打数2安打1盗塁の活躍、打率も.246まで上昇

 メキシコのウインターリーグに参加し、ヤキス・デ・オブレゴンでプレーしている横浜DeNAベイスターズの関根大気外野手が8日(日本時間9日)、敵地で行われたチャロス・デ・ハリスコ戦に「1番・中堅」でフル出場し、4打数2安打、2四死球、2得点、1盗塁の活躍をみせた。チームは14-7で勝利し、13勝11敗で前期リーグ4位タイに浮上した。関根の打率は.246まで上昇し、これで16試合(うち途中出場2試合)で12得点と、リードオフマンとしての役割を果たしている。

「1番だからといって変えた部分はないですが、四球も含めて出塁することを考えていた。ヒットも打ちたかったので、コンタクトできる球を待って、しっかり振ろうと思っていました」

 この1週間は8番での起用が続いていたが、この日は初の1番起用に見事に応えた。1打席目の初回は三塁線へのセーフティーバントを相手捕手に封じられ、捕ゴロに終わったが、2回無死ニ、三塁で迎えた2打席目には死球で出塁。3打席目の4回には1死から右前打を放つと、4打席目の5回にも2死二塁から四球で再び出塁した。5打席目の7回には1死から遊ゴロに倒れたが、先頭で迎えた6打席目の9回には左前打で出塁。5回、9回と2度ホームを踏んだ。

 相手の先発は昨季、同リーグで最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の3冠を獲得している好投手だったが、5回途中でKO。セルヒオ・ガステルム監督も「タイキは今日はいい仕事をしてくれた」と賛辞を送った。

 切り込み役として、2連敗していたチームの嫌な流れを断ち切った。前日7日(同8日)のホームでのマヨス・デ・ナバホア戦。関根は1点ビハインドだった8回に右中間への三塁打を放ち、犠飛で同点のホームを踏んだ。だが、チームは9回に決勝点を許し、黒星を喫した。試合の序盤には乱闘が起こり、相手投手がオブレゴンの打者に意図的に死球をぶつけようとしたのではないかと抗議した監督が退場。後味の悪い負け方をしていただけに、首位を走るハリスコを倒しての勝利はチームにとって大きな1勝となった。

前日の試合後は夜行バスで6時間掛けて移動、朝に飛行機で現地入りの過密スケジュール

 日本とは違う環境にも必死に対応している。メキシコでは日本のように、試合前に相手投手を分析する打者ミーティングを行う習慣がない。そのため、同リーグでのプレー経験がない関根は、相手投手の球種や組み立てを味方のコーチやチームメイトに聞いて打席に立つことで、初対戦となる相手投手に対応しようとしている。

 メキシコでは日本よりも5人多い30人がベンチ入りできるため、打者の左右に応じて左対左、右対右になるよう、惜しみなく投手を繰り出してくる。そのため、相手先発の降板後は、誰が投げてくるのか分からない状態で打席を待つことも多い。当然、相手の情報が少ない中で打席に立つ関根は、他の打者よりも不利な部分もあるが、その中で自身の特徴を生かそうと必死だ。

「メキシコは1イニングに平気で(投手を)3枚使ったりする。夏のシーズンとは違い、短期決戦となるため、その試合に勝つための采配だと強く感じる。日本は6連戦の中で休ませたりするが、こっちは(連投している投手を除き)今日勝つために投げられる投手は全部つぎ込んでくる。その違いはあると思います」

 この日は移動ゲームだった。チームは昨夜、本拠地オブレゴンで試合後、夜行バスで約6時間掛けて隣の州のクリアカンまで移動し、この日朝、クリアカンから飛行機でグアダラハラ入り。洗濯物が間に合わず、関根は予定していた早出練習を行うことは出来なかったが、限られた練習時間の中で調整し、試合に間に合わせた。日本とは違う環境ながら、昨年オフ、ドミニカ共和国での自主トレを経験していることもあり、日本のように思い通りに物事が進まないことに対する適応能力は高い。

 10月12日の開幕から約1か月。最初は時差ボケも残る中での出場だったが、コンディションも上がってきている。「来た時は体調が滅茶苦茶悪かった。その後、(登録を抹消された期間で)リフレッシュできた。なかなか結果が出なくて、自分が(メキシコの野球に合わせて)変化したほうがいいかなとも思ったが、変化させてもなかなか(いい内容が)続かない。じゃあ、せっかくここに来たんだし、その中で自分の打ち方をうまく噛み合わせていけたらなと思った。素振りしていてもやっと日本と同じ感覚でスイングができるようになってきた」。

 前半戦残り11試合。オブレゴンは首位とは3ゲーム差につけており、まだまだ逆転優勝の可能性もあるだけに、チームの士気は高い。その中で、助っ人の1人としてグラウンドに立つ関根。監督は足を絡めた野球を得意としており、関根の出塁は、そのままチームの勝利へと繋がっている。(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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