「この傷がまたうれしい」 WBSS制覇の井上尚弥、未到の偉業かみしめ

WBSS制覇から一夜明け、リラックスした表情を見せる井上尚=大橋ジム

 7日のワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級決勝を制して王者に輝いた井上尚弥(大橋)が一夜明けた8日、横浜市神奈川区の大橋ジムで記者会見を開き、「やっとこのトーナメントが終わった。ホッとしたし、一区切り付いた」と長かった激戦を振り返った。

 試合中に負傷した右まぶたがまだ痛々しいが、井上尚はすがすがしい表情を見せた。試合後は知人らからの祝勝メールが絶えず届き、「一睡もできなかったけど、不思議な感覚ですね」と喜びをかみしめた。

 世界5階級制覇のノニト・ドネア(フィリピン)との決勝は12回判定勝ち。プロ19戦目に味わったかつてない激闘に、「(まぶただけでなく)後頭部などにも今までにない体の痛みがある。でもこの傷がまたうれしい」と笑顔を見せた。

 初戦から決勝まで約1年を費やしたWBSS。ようやく緊張の糸をほどき「平和が戻ってくるうれしさ。家族とゆっくりしたい」と笑みを浮かべ、今後の方針については「しばらくはバンタム級に残る。まだまだやりたい選手がいる」と次なる戦いを見据えた。

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