【アリゲーターガー大爆釣】夢の200パウンダーに原産国アメリカで挑む! 日本では特定外来生物として時折ニュースでも取り上げられるアリゲーターガー。今回は、そんなアリゲーターガーの200ポンドオーバーを狙って原産国のアメリカに釣行しました!

いつだって夢追い人

釣り人は、いつだって夢追い人であるべきだと思います。

その夢を実現するチャンスは、釣り場に立っている人に不意に訪れるもの。

シーバスなら110センチ、ブラックバスなら70センチ。それが、200パウンダーの価値です!

夢を追って、兄弟縁の地を再訪したお話しをお楽しみください!

1億1千万年前から生き残る「生きた化石」

アリゲーターガーを始めとするガーの仲間は、恐竜達が大繁栄した白亜紀前期より現在まで残る数少ない生き物です。

最大全長は3メートル、90年以上生きるとも言われる巨大魚。

日本国内では危険な特定外来生物として度々メディアで取り上げられ、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

原産国はアメリカ南部!

今回200パウンダーの夢を追って訪れたのは、テキサス州ヒューストン。

アリゲーターガーの一大生息地であるテキサス州では、ガー類に対して危険生物としての認識は全くありません。

生息数は比較的安定しているものの、近年はスポーツフィッシングの対象として人気が出始めており、バックリミットや捕り方に関する厳しいレギュレーションが設定されています。

怪魚ハンター山根ブラザーズ縁の地

ヒューストンは、9年前に兄弟で一度アリゲーターガーを狙って訪れたことがあります。

当時、大学生と高校生だった僕ら兄弟に怪魚の世界を教えてくれたとても思い出深い場所ですね。

その時は、弟のマサが2メートル・100ポンドオーバーの釣獲に成功しました。

この瞬間が僕ら兄弟にとっての転機だったと今になって感じます。

夢の200パウンダーを求めてヒューストンを再訪!

最高難易度!Aクラス

出ました! 釣りの技術や実釣時間だけでは無理! 運すら必要とするレベルです。

「200パウンダー狙いますッ!」って大きな目標を掲げてはいましたが……

本音は「100パウンダーが釣れればなんとか格好はつくかな!」って思ってました。

ヒューストンといえば、アストロズ!!

僕たちがヒューストンを訪れた時は、なんとメジャーリーグのリーグチャンピオンシップシリーズの真っ只中!

それもアストロズの本拠地「ミニッツメイド・パーク」で地区優勝がかかる一戦となれば、観ないわけにはいきませんよね!

ミニッツメイド・パークでメジャーリーグ観戦!

ライトスタンドに試合開始3時間前に入場! 野球場とは思えない形です。

メジャーリーグの球場は様々な形があって面白いですね!

なんと、サヨナラホームランでアストロズが地区優勝!

なんというミラクルな展開でしょうか!

それも、人類最速171キロの速球を誇るチャップマン(ヤンキース)からホームランを打ったのは、身長167センチの小柄なアルトゥーベ!

大きな勇気をもらい、明日からのガーフィッシングに備えました。

3日間のガーフィッシングが始まる!

目の当たりにする162ポンドの剥製

友人であるガーフィッシングのスペシャリスト「カーク」との待ち合わせ場所に飾られていた、トロフィーサイズのアリゲーターガー。

これで162ポンドか。でけーな。200ポンドってどんなモンスターなんだ……。

夜明けとともにカークが到着です。

9年前はオンボロの車と穴だらけのアルミボートに乗っていましたが、今では多くのスポンサーがついて超ビックな存在に。

大寒波襲来!32度だった気温が一気に7度に……

流石に冷えすぎです。心配になり、恐る恐るカークに状況を聞きます。

カーク:水温がまだ高いから20ポンド前後の小さなガーがめちゃくちゃ元気だ! 1日20バイト以上あるぞ!

山根兄弟:おー! 釣れてるんだね! でも今回、200パウンダーを目標にしたいんだ!

カーク:100ポンド前後の個体も交じるが、3日に1本程度だな。この冷え込みで少し状況が変わるかもな! さぁー行くぞ!

アリゲータガーを狙う仕掛けは?

使用する針は大きなトレブルフックです! これにワイヤーを90センチ程取り付け……。

エサは豪快に!コイのブツ切り!

200〜400グラムもある肉塊がエサです。

ガーはスカベンジャー(腐肉食)と呼ばれ、生きエサよりも死にエサの方が食いが良いと言われます。

遠くからでも目立つフロート!

ガーの仲間はエサを咥えてから飲み込むまでに10分以上かかることもあり、100メートル以上移動するものもいます。

そのため、ガーの動きが分かりやすいように大きなフロートを使います。

実釣開始!

まず案内してもらったのは、2つの小さな支流が合流する水深1メートル前後の浅いインターセクション。

8本分の竿の仕掛けをセットしている最中から、次々と動き出すフロート達!

コレは入れ食い祭りかー!?

カーク:全部ベイビーだ。最近いつもこうなんだ。落ち着け、小さいガーはすぐにエサを離す。デカイやつが飲み込むまで待つぞ。

いきなり来たぞ!100ポンドオーバー!

なんと一匹目から全長205センチ、胴周長79センチ! ウェイトは119ポンド!!

幸先良いとはこのことです!!

推定40歳、僕より年上だ!

アリゲーターガーは、アメリカにとってはとても貴重な生物であるため、研究が進んでいます。

魚体の各所を計測することで、計算式によって高い精度で年齢を推定することができます。

ナイスサイズが連発!

その後はフックアップしない小さなガーに苦しめられながらも、時折ナイスサイズが混じります!

カーク:明日はロングノーズやスポッテッドを狙いながら、ルアーでガーフィッシングを楽しんでみないか?

山根兄弟:一応100パウンダーも出たし、そうしようか!

ガーのルアーゲーム

ガーはスカベンジャー(腐肉食)ということもあり、ルアーに反応させ辛い魚です。

難易度としては、アメリカナマズをプラグで釣るくらいの感じでしょうか。

ガーが大量にいるぞ!

カーク:ここはガーが多すぎてサイズを狙うのは難しい場所だ。でも、このガーの密度を君たちに見て欲しいから連れてきたんだ!

この密度だからルアーフィッシングも成立する! いいか、リアクションバイトを狙え!

早速バイブレーションにヒット!

ビッグバイブレーションのリフト&フォールが威力を発揮!

フォール中の“ドンッ!!”っていうバイトは病みつきになりそうです!!

3~5歳魚が爆湧き中!

5年前と3年前に大規模な産卵が起こったこの場所は、1メートル前後の若い個体が大量に溜まっていました。

アリゲーターガーは年齢とともに太くなる魚ですので、全長に対する胴周長で年齢が分かります。

ダブルヒットも当たり前!

スポッテッドガーも混じりながら大爆釣です!

サイズを狙うのも良いですが、こうやって繁殖が成功していることを実感しながら楽しく釣るのも良いものですよね!

ロングノーズガー現る!

まるでダツのようなガーですよね! これが僕の大好きなロングノーズガーです!

フッキングが難しいものの生息数は多く、アメリカでバスフィッシングをしていて最も良く見かけるガーです。

1日でガー11匹!まさに大爆釣!

日が昇ってからはライトタックルでのエサ釣りでしたが、本当によく釣れた1日となりました。

こんだけ大量にいれば来年以降も楽しみですね! ガーフィッシングに行ってみたい方はチャンスですよ!

夢は最後まで追うべきだ!

カーク:さぁ、モンスターにチャレンジだぜ! 深い場所に行ってみよう!

来い!夢のモンスター!

水深7メートル。この川にしてはかなりの深場でサイズアップを狙います。

無線式バイトアラームにロッドをセット!

50メートルおきに4本の竿をセットし、あとは待つのみ!

今までとは一転、反応がないぞ……

冷え込みが和らいで気温が22度まで回復したこともあり、日陰で待機することに。

お茶を濁そうと小物釣りを試すも、このポイントではブルーキャットが突付く程度。

駄目か……。そう思った時でした!

鳴り響くバイトアラーム!勝負の時が来た!

ロッドに駆けつけると、すでに道糸は緩んでアラームは止まっていましたが、フロートはゆっくりと上流へ向かっています。

大きいかもな……。

直感的にそう思いました。

夢を乗せて渾身のフッキング!

何だこの重量感は!?!?

ドラグを緩めていないのにズルズルとラインが出ていく! と思ったら、底に張り付いたぞ!

ジワジワとラインを巻き取ると、ボートが魚に近づいていきます。

やばいのを釣ってしまったかもしれない!

じっくり時間をかけると、大量の泡がボコボコと水面を割りました。

来るぞ……得意技「スーパージャンプ」が!!

モンスターサイズだー!!

山根兄弟:ウォーー!! デケェーーー!!

カーク:That’s MONSTER!!

僕:デカイ……デカすぎる! このチャンス絶対ものにしなきゃ!

再び深みに潜ろうとするモンスターをしっかり竿で受け止め、再び浮かせます!

夢は叶うもの!

ランディングの瞬間です! ギリギリまで気が抜けません!

モンスターを釣獲!!

圧巻とは、まさにこのことでしょう。

信じられない太さ! さぁー計測しよう!

見事、200ポンドオーバー!!

全長227センチ・胴周長104センチ・重量204ポンド・75歳!!!

人生、いつも上手くいく訳じゃないですが、頑張っていればチャンスは巡ってくるものです。

釣りをしてて良かった! 本当にそう思える瞬間でした。

重てー!無理ー!

「持ち上げてみてください!」と煽られ、チャレンジするも5秒と持ちませんでした(笑)

でも、こうやって抱っこすると1匹目(100パウンダー)とのサイズ感の違いがよく分かりますね!

1億年生き続けている理由。

今回の釣行が終わり、少し時間が経って冷静になると、75歳の魚と3歳の魚がバランス良く元気に泳いでいることが非常に嬉しく感じてきました。

1億年も生き残るのは、どんなに難しいことでしょうか。想像もつきません。

同種間で争わず、のんびりと暮らす。きっとそれが長生きの秘訣なんでしょうね。
画像提供:山根 央之

アリゲーターガーを釣るには?

フィッシングツアーに依頼することが最も確実といえます。

現地ガイドはガーフィッシングのプロフェッショナル。ガーフィッシングに必要なライセンスはもちろん、釣具もエサも用意してくれます。

フィッシングガイド ChillTripへ

用意すべきものを挙げるとすれば、フックでしょう。やはり日本製の物が安心です。

筆者紹介

山根 kimi ヒロユキ

初めての1匹を求めて世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズ(兄)。

餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。

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