マイナンバーカード伸び悩み 交付率 全国14% 長崎は14.6% 新制度で普及の起爆剤に

長崎県内のマイナンバーカード交付率(9月16日現在)

 個人番号が記載されたマイナンバーカードの交付率が長崎県でも伸び悩んでいる。政府は2022年度末にほぼ全ての住民がカードを保有すると想定し、全国的に普及を図っているが、長崎県の交付率(全人口に占める割合)は9月16日現在、14.6%(20万17枚)にとどまっている。全国は14.0%(1783万5498枚)。
 マイナンバーカードは、国内に住む全ての人に割り当てられた12桁のマイナンバー(個人番号)のほか、顔写真、氏名、生年月日などが載ったICカード。16年1月から申請に応じて自治体が発行している。総務省によると、カードは本人確認の際の公的な身分証明書になるほか、コンビニで住民票などの各種証明書が取得できるなどのメリットがある。都道府県別の交付率は宮崎県の19.1%が最高で、最低は高知県の8.0%。
 本県の21市町で見ると、交付率が最も高いのは佐世保市(19.9%)で、大村市(19.5%)、五島市(17.3%)と続く。佐世保市は企業や病院、商業施設などを訪問して申請を受け付けているほか、タブレット端末で顔写真を撮影するサービスを実施。担当者は「一定の効果があった」と手応えを口にする。
 一方で、県内で各種証明書のコンビニ交付サービスを実施している自治体は現在、長崎、佐世保、大村、西海の4市にとどまる(西彼長与町は20年1月に導入予定)。交付率が最も低かった南島原市の担当者は「(旧町合併で、窓口となる)庁舎が八つあるし、そもそも市内にコンビニの店舗自体が少ない」とし、「今のところカードを持っていても住民にお得感が感じられないのではないか」と話す。
 政府はこうした現状を打開しようと、20年度にはカード保有者に国発行の全国共通のポイントを上乗せする新制度を開始するほか、21年3月に健康保険証としての本格運用を始める。総務省は「カードの健康保険証としての利用が普及の起爆剤となる」と期待を寄せつつ、「個人情報が全て入っているとの誤解が広がっている。安全性についても広報したい」としている。

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