数億円を稼いだサラリーマン投資家が「大化け銘柄」を探すために行っていることとは?

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人気投資ブログ「エナフンさんの梨の木」の筆者エナフンさんこと奥山月仁さん(いずれもハンドルネーム)。エナフンさんは、大化けする割安成長株を見つけ出し、サラリーマンでありながら数億円の資産を築きました。前回に引き続き、エナフンさんに普通の初心者でも大きく儲けられる方法を聞きました。


SNSは鵜呑みにしない

――大化け株を見つけて、余裕のある人生をつかむチャンスは誰にでもあるとうかがいました。これから株をはじめる初心者が大化け株にたどりつくには何から始めればよいのでしょうか?

当たり前のことですが、まずはとにかく証券会社に口座を開くことですよ。株式投資はチャンスもあるけどピンチもある。本当の大化け株を見つけられたら、お金持ちになるチャンスだけど、いきなりには得られない。銘柄や相場の見る目を養うには、口座を開いて、とにかく実戦経験を積むのがいちばん早い。売買することで、得られる知識は多いし、鍛えられる。

「いいな」と思った会社があれば、調べてみる。探せば探すほど、調べれば調べるほど、大化けの可能性がある株はいっぱいある。

――初心者はどこから銘柄情報を入手するのが理想ですか?

初心者の場合、SNSで話題になっている株を買うと、大きく外してしまう危険があります。本音と反対のことを語る投資家もいるので、鵜呑みにはしないほうがいい。

慣れてくると、投資家が勧める意図や信ぴょう性がわかりますが、経験が浅いうちは見分けられないので、アッという間に資金を失ってしまいかねません。

むしろ最初は自分の普段利用しているものや趣味や好きな食べ物、自分の仕事の中で知った伸びそうな会社の株を、買ったほうがいいです。たまたま買ったら、割安で大きく上昇することだってありえます。

――「アッという間に資金と失ってしまう」というのは初心者には怖い話ですね。

初心者がいきなり大儲けを狙って身の丈に合わない投資をすると、致命的な失敗をしてしまいますよ。とにかく練習と割りきって投資資金を少額に抑えるのがいいですね。

――少額とは人それぞれだと思いますが、どのくらいのイメージですか?

ケリー基準というギャンブルのかけ方などで使われる理論では、投資資産の1割から2割を5銘柄から10銘柄を個別投資に使うのが正しいそうです。

僕の場合、前回説明したとおり、2,000万円を貯めて、3割を個別株投資にまわしましたが、それなりに知識と経験があったから。初心者の方なら2,000万円の1割~2割の200万円から400万円を5銘柄から10銘柄にしぼって買う。それならば失敗しても人生に影響を与えるほどの損失にはなりません。練習期間を設けて、少しずつコツをつかみはじめたら、少しずつ投資金額を増やすイメージですかね。

ただ、「これだ!」という大化けの可能性がある銘柄をもしも、見つけてしまったときは初心者でも強気でいくのはありだと思います。

――エナフンさんの場合は、とんかつチェーン店「かつや」のアークランドサービスホールディングス、葬儀会社の「ティア」、低迷から復活した「ソニー」を持ち前の観察力で大化け株を手にしてきましたが、初心者はどのように見つければよいかアドバイスをお願いします。

大化け株の見つけ方は人それぞれに違うと思うんですよね。発見できるジャンルというのは。「ノースフェイス」のブランドで株価が20倍以上になったゴールドウインは、アウトドアをしている方なら気が付いて買えたでしょうね。だけど、アウトドアをしない私には見つけられませんでした。

私の場合はドケチな節約生活をしていたので安いものを見つける力はあるんですよ。大衆層が利用しているかつややトレジャーファクトリー(リサイクルショップなどを営む)で儲けることができましたから。

人それぞれ得意ジャンルがあって、好きこそ物の上手なれと言いますか、自分の趣味に合った会社の株をもっているのは楽しいですね。ソニーで勝てるようになったのはだいぶ生活が豊かになってからですね。

第2のワークマンは?

――アウトドアといえば、作業服のワークマンが安さで人気になり、株価も上昇しています。

アウトドア商品は一般的に高いイメージがありますが、ワークマンでは安く買えます。ほかの業種では回転ずしのスシローや家具ではニトリもそうです。高いと思っていたものが「こんなに安い!」と消費者に思わせている会社の株を見つけたら、それは鉄板ですね。まだまだ埋もれているものがいっぱいあると思います。

いいものが話題になる前に買うのが長期投資のひとつの基準。ユニクロもそうですが、話題になる前に買って、話題になったら売る。会社が大きくなる前に見つけられたら、本当に10倍株が狙えます。

――「会社四季報」から探すというのもアリですか?

会社四季報はすべての上場企業が網羅されています。全部に目を通すのは大変ですが、3分の1でも読めば、大化け株は何社が見つかります。

――「伸びる」という点では、やはり小さな会社の方が勝ち目はありますか。

成長株は圧倒的に小型株が多いですからね。株価が少々高くても、まだまだ伸びると思ったら、その株は迷わず買った方がいい。小型株は流動性がないから、売りたいときに売りにくいという人はいます。確かにそうですが、たとえば総資金50万円として10万円で銘柄を買うときに、小型株だからどうこうはまったく関係ありませんよ。小型株でもそこそこ買い板(株を買おうとする注文)はありますから。

――PERやファンダメンタルズにも留意するべきですか? それでも無視してでも買ったほうがいい?

もちろんPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、ファンダメンタルズの読み方は早いうちに勉強したほうがいいです。初心者は「伸びている会社の株は上がるでしょう」と、それだけのインプットで買いたがるけど、そうは問屋が卸さない。業績がよくてPERやPBRが妥当な株を買ったほうがいいですよ。PERが100倍を超えているような割高の株は、景気が悪化するような下落局面では、将来性があったとしても、期待をへし折られるような売られ方をされます。ただ、伸びているだけではダメ。そこは注意点ですね。

――現在の時代の流れで「買い」のジャンルはありますか?

やはり今のAIやデジタル化の流れは数年で終わるものではありません。その変化にどのように乗るか、しっかりした観点をもっていれば、大化け株が狙えます。

私は正直、コンピュータはあまり得意ではありませんが、それでも買っている銘柄があります。雑誌の連載でも紹介しましたが、「JBCC」というIT企業です。IBMの代理店のような会社で、技術者がたくさん所属しています。企業のシステムをつないで統合する技術のニーズが高まり、富士通やNECの業績も上がっていますが、JBCCのような小規模な会社にも波が来ています。調べると、底力があって真面目な会社でした。「これは来るな!」と800円くらいのときに買って、今は倍ほどの株価になっています。

今は「買い時」?

――今は株の買い時ですか。消費増税の影響も当面は懸念されると思いますが。

経済指標からは景気は悪化する可能性が高いですが、景気の悪化とともに業績も落ち込み株価が下がるのは仕方がないとして、業績がいいのに全体のマーケットにつられて下がっている、もしくは横ばいで割安になっている銘柄も増えています。そうした意味では買い時とも言えますね。

――不況を表すようなデータが出ると株価が急落する場合もあります。初心者はどのように対応するべきですか?

長期投資は目先のことは気にしない方がいいですね。そのためには情報を遮断するようなこともします。業績と割安さだけに注目して、そこだけを見る。

「最近、日経平均が下がっていますね」と言われても、「あ、そうなんだ。世の中は」と思えるくらいでいられたら最高ですね。私のような投資家は下がってくれて買い場ができないとチャンスがありませんからね。

――確かに好不況は波があります。一喜一憂せず悠然とかまえていればいいのですね。

どんなに優良な成長株でも10%や20%下がることはざらにあります。相場全体が下落しているときに優良株が下がっていたら、買いのチャンスです。自分の株が2割下がっていても、もっといい株が5割下がっているかもしれない。そうしたときは2割下がった株を売って5割下がっている株を売る。もしくは株価が2割下がった株を売って、2割上がっているけど、業績が倍になっている株を買う。これがいちばんいいかもしれません。下落局面ではすごく業績がいいのに株価が上がっていない株がありますから。

今よりももっといい株に買い替えていくことで、ポートフォリオの質を高めていくのが理想です。

――エナフンさんの長期投資のお話を聞いていると、不況も怖くなくなりますね。

株価が10倍になることは本当にありますからね。10倍を獲得できたら本当にサラリーマン生活は楽になるし、老後の不安も小さくなりますよ。

――人生が変わりますね!

株式投資は経済面以外にも人生にもいい影響を与えますよ。ビジネスパーソンには伸びている会社を見抜く練習にもなります。株式投資をすることで、世間で伸びると言われている会社が、たいしたことがないとわかったり、一方で、意外な会社がマーケットで受け入れられていることを知ったりすることができます。「思い込み」を修正する習慣がつけば株でもビジネス力でも成功する可能性が高くなります。本格的にしなくても、たしなみとして多くの方に株式投資をしてほしいですね。