「消費増税」「幼保無償化」1カ月余 家計直撃 待機児童解消せず、若い世代も疑問の声

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税率の引き上げは高齢者らの負担増が避けられない=長崎市内(写真はイメージ)

 消費税率が10%に引き上げられ1カ月余り。年金暮らしの高齢者ら低所得者層は生活費を切り詰めるなど家計への直撃が避けられない。一方で、税率アップと合わせて始まった幼児教育・保育の無償化の対象となる子育て世帯は恩恵を受けるが、待機児童の問題などを巡り、制度に対する疑問の声も上がる。
 「500円玉貯金を生活費に使った」。長崎市で1人暮らしの女性(77)は増税の影響を実感している。
 毎月の生活費は、年金と新聞配達のバイト代を合わせて9万8千円。対して、固定の支払額は2万8千円の家賃や光熱費、水道代など計約5万5千円。食品や日用品などの必需品は残る約4万円で賄ってきた。
 たまには市中心部に生鮮食品を買いに行きたいが、往復のバス代320円がもったいない。食器洗いの洗剤は薄めて使い、割引の商品を買うのは長年の習慣だ。
 増税で光熱費などの税率が上がり、月々の負担は約800円増える。年間では約1万円の増。「これ以上、どこからお金を捻出すればいいのか」
 長崎市で夫婦2人暮らしの男性(77)も悩みは同じ。年金では足りず、退職金を切り崩しながらの生活。貯金するはずだった退職金の一部にも手をつけ、既に8割が生活費に消えた。税率の引き上げに「もう削るところがない」。毎日2~3本の発泡酒などを楽しみに飲んでいた晩酌をやめた。

 消費税率の引き上げに伴う増収分の一部は、幼児教育・保育を無償化する財源にも充てられる。
 大村市の30代の女性会社員は制度を歓迎する。認定こども園に通う次男(5)と三男(2)の月々の保育料は市の補助を合わせ、2人で3万7千円。これに小学2年の長男(8)と小学1年の長女(7)の放課後児童クラブの利用料1万7千円もあり「出費をどう抑えるか考えていた」。無償化で、園への支払いは給食費の7千円に減った。ちゅうちょしていた小学生2人の習い事も、前向きに考えてみるつもりだ。
 一方「助かるけれど…」と表情を曇らせるのは、西彼長与町の30代主婦。認定こども園に通う長女(5)の保育料が無償化されたが、これでいいのかとの思いが交錯する。
 解消しない待機児童や保育士不足の問題。子どもを預けられず、仕事復帰を諦めた母親もいる。さらに待機児童が増えるかもしれない-。こう考えると手放しで喜べないでいる。
 政府は、高齢者に手厚かったとされる社会保障制度を若者世代に振り向ける「全世代型」への転換を図る手始めとして、幼保無償化を打ち出した。
 関西大の鶴田廣巳名誉教授(財政学)は「待機児童の問題にも応えておらず『全世代型』と言えるのか疑問。施設数を増やし、不足する保育士への対応の方が優先順位が高いはずで、政府の政策の方向性はピントがずれている」と指摘している。