長崎県課長「災害は追い風」発言 石木ダム問題 住民ら県に謝罪要求

県土木部の天野俊男次長に抗議文を手渡す炭谷氏(左)=県庁

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、県の担当課長が「災害は追い風」という趣旨の発言を撤回したが県としての謝罪がなかったことを受け、建設予定地の住民らは11日、中村法道知事による謝罪を求め、県庁で抗議行動をした。
 県によると、発言は10月30日、同町内で開いた推進派議員らによる意見交換会で、県河川課の浦瀬俊郎課長が「去年、今年と大きな災害が起きている。追い風だと思っている」と発言した。住民らは今月5日、県に抗議文を提出。同日、浦瀬課長が会見し、「不適切だった」として発言を撤回した。謝罪はなかった。
 「石木ダム建設に反対する川棚町民の会」(代表・炭谷猛同町議)など計6団体の代表者ら約30人は11日、県庁で中村知事宛ての抗議文を提出。謝罪せずに発言を撤回したのは県幹部の責任逃れをうかがわせるとし、知事が謝罪会見を開き、発言の経緯を明らかにすることを求めた。
 非公開の場での発言だったため国民に対する謝罪は必要ないとする県側に参加者は反発。ダム推進ありきの姿勢を批判し、意見交換会での配布資料の開示などを求めたが県側は応じなかった。参加者は15日に文書回答を受け取りに来るとしている。炭谷氏は「県幹部は管理監督責任を含め反省がなされていない。公開の場で考えを表明してほしい」と話した。
 石木ダムを巡っては、住民の家屋など物件を含む土地の明け渡し期限が18日に迫っている。

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