死んだふりより…危険を察知! クマの生態を知ろう

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「山へは1人で静かに入ると危険」と指摘する福本さん(広島市安佐北区)

 紅葉狩りや登山など行楽シーズン真っただ中だが、晩秋はツキノワグマが冬眠に備え餌をむさぼり食う時季でもある。人里への出没が増えてクマの生息エリアが広がっており、今後しばらくは注意が必要だ。クマの生態を知り、山へ入る際は遭遇しないよう気を付けたい。

 ▽遭遇を回避 鈴やラジオで音出す

 安佐動物公園元園長の福本幸夫さん(71)=広島市安佐北区=は「広島県内でも生息頭数が増え、広島市を含む広い範囲でクマと出合いやすい環境になってきた」と注意を促す。

 広島、山口、島根県にまたがる西中国地域では本年度上半期(4〜9月)、クマの捕獲頭数と目撃件数がいずれも、過去10年で最多になった。この秋はドングリの実なりが良く、人里への出没は収まっているものの、山ではクマが活発に餌を食べているとみられ、入山時は危険を伴う。

 クマは警戒心が強く人間を怖がるので、山の中では鈴やラジオを携帯し、音を積極的に出して自分の存在を熊に知らせよう。棒で山道のササを時々たたきながら歩くのも手だ。人を察知したクマの方が遭遇を避けてくれる。山中では、2人以上で行動するといい。

 音が聞こえにくい環境だと、クマが人の存在に気付きにくい。雨や風の日は山に近づかず、流れのある川沿いを通るのは避けた方が無難だ。野営する場合、残飯をテント外に放置していると、クマを引き寄せてしまうので管理を徹底する。

 ▽出合ったら 目を離さず後ずさり

 では、万一出合ってしまったらどうすればいいか。距離が離れていれば、クマが逃げていくことが多い。近い距離の場合、クマから目を離さないようゆっくり後ずさりする。大声を出したり、激しい動きをしたりして刺激を与えないようにする。リュックなどの持ち物をそっと前に置き、注意をそらして後退するのも有効とされている。

 「逃げるものを追う習性があり、クマに背中を見せて走るのは危険」と福本さん。「かつて言われた『死んだふり』も、クマは動物の死骸を食うため危ない」と指摘する。

 ただ、人が子グマと母グマの間に偶然入ってしまうと、親が子を守ろうと攻撃してくることもある。こうなると、爪が鋭く、顎も強いので命の危険がある。首や頭部の致命傷を避けるため、両手を首の後ろに回して地面にうつぶせになるなど体を守る。非常時に備え、厚手の服を着込んでおくと傷を軽くする効果が見込める。

 広島県自然環境課によると、クマが冬眠に入るまで12月いっぱいは注意が必要という。福本さんは「ライオンなどと違い、クマは食うために襲ってくるわけではない。クマも人間と鉢合わせたくないので、山に入る時は出合わない工夫を心掛けて」と、クマの警戒心を逆手に取った遭遇予防の大切さを強調する。(桜井邦彦)