「目標」と「目的」の違いは... MBA取得のラガーマン俳優・廣瀬俊朗氏が講義

©株式会社ジェイ・キャスト

「目標」と「目的」を明確にせよ――。

リコー・ブラックラムズ選手たちを前に、講義を行う廣瀬氏

ラグビー元日本代表主将の廣瀬俊朗氏が2019年11月11日、東京・世田谷区にグラウンドを構えるトップリーグ(TL)強豪のリコー・ブラックラムズで、約1時間半にわたる講義を行った。廣瀬氏は今夏、TBS系で放送された「ノーサイド・ゲーム」で俳優としてもデビュー。また「ラグビーW杯2019日本大会」では、NHKの解説者も務めた。

廣瀬氏は慶應義塾大で主将、TL東芝や日本代表でも主将を務めた。引退した後は勉学にも励み、今年9月にはMBA(経営学修士)も取得。現在は、ラグビーを中心としたスポーツの存在意義、価値などについて講演なども行っている。

「自分でコントロールできること、できないこと」

廣瀬氏は冒頭のあいさつで、

「『ノーサイド・ゲーム』(のドラマ撮影)では、このグラウンドを使わせていただいて、またジムとかも利用させていただいて...。本当にありがとうございました。ラグビーの人気が少しでも高まったかなと思うし、少しでも、お役に立てれば...という思いで来ました」

と話し、チームの雰囲気を和ませた。ちなみに廣瀬氏が所属していた東芝と、リコーはTLのライバル同士である。しかし、そんなことは問題ではなかった。「共にラグビーを盛り上げる=ONE TEAM」という思いで、エールを送りに来たのだった。

廣瀬氏は、日本ラグビー界を盛り上げるため、自分の経験から「ヒントになれば」という思いを共有したい一心だった...と言う。そして、講義が始まった。

「『目標』っていうのは、例えば『日本一になる』とか『試合に出る』とか、皆さん、あると思います。それは最後、天候だったり、監督が決めることだったり...。自分自身では決められない。でも、『目的』っていうのは違う。『なぜ自分はラグビーをしているのか』ということ。周囲の子どもたち、クラブハウスを毎日、キレイにしてくれていている方々...。そういった方々に『自分の姿勢』を見てもらうこと。ラガーマンなんて選手寿命はそう長くない。皆さん、いずれは引退する。その時に『何を残せたのか?』というのが『目的』だと思います」

「試合に出られないから、オレは意味がない...」ではなく

廣瀬氏は続けた。

「もちろん皆さん、『試合に出たい』と思うでしょ。ラグビーに限らず、どんなスポーツでもセレクションは起こる。でも、試合には出られなくても『自分自身は成長している』、『誰かに影響を与えている』...っていうことを考えた方が、健康的。もしくは将来、自分が成し遂げたいことにつながる。そこが大事なポイントかな...って思います」

さらに、

「皆が1.01%を頑張るのと、0.99%の力でやるのとを毎日、掛け算したら、どうでしょう? 大きな違いが出てくることは明らかでしょ」

ドラマ「ノーサイド・ゲーム」では、廣瀬氏が演じた浜畑譲が、現役を引退し、次期GM(ゼネラルマネジャー)に就任するところで幕を閉じた。実物と役が、重なって見えた。

また印象的だったのが「まず1人で考えてみよう」。次に「隣の人と意見交換しよう」という、廣瀬氏独自のメソッドだった。

最後に廣瀬氏は、

「意見交換ができない...という環境は、よくない。『こういうことを言ったら、周囲に嫌われる』とか、そういう風潮をチーム内に蔓延させてはダメ。今回のジャパン(日本代表)が成長できたのは、皆でそういう議論ができたからこそ。1人で考えて相談する。2人の意見がまとまったら、4人で...。そうやってチームは強くなっていく」

選手たちは必死にメモを取っていた。