東博所蔵「マリア観音像」など 禁教期の信仰具“里帰り” 25、26日 浦上教会で信徒に公開

特別観覧に出展されるマリア観音像(東京国立博物館所蔵)

 江戸時代に長崎奉行所が長崎市浦上地区の潜伏キリシタンから没収し、現在は東京国立博物館が所蔵している「マリア観音像」などの信仰具が25、26日、カトリック浦上教会(本尾町)で特別展示される。関係者によると、24日に来崎するローマ法王フランシスコも長崎大司教館(橋口町)で信仰具を見る予定という。
 東京国立博物館は、幕末のキリシタン取り締まり「浦上三番崩れ」「四番崩れ」で、長崎奉行所が潜伏キリシタンから没収した信仰具約280件(国指定重要文化財)を所蔵。浦上教会の久志利津男(ひさしりつお)主任司祭や信徒らは今年春、法王来崎や「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界遺産登録を受け、東博に「里帰り展示」を要望していた。
 今回は主に信徒向けの「特別観覧」とし、ロザリオ、マリア観音像、十字架各1点、メダイ(メダル)2点の計5点を、浦上教会内の「被爆マリア小聖堂」で展示する。法王が24日に長崎大司教館に立ち寄る際にも一部を館内へ持ち込み、直接見てもらう計画という。
 久志氏は「先祖が禁教期でも大事にしていた遺品が一時的にでも浦上に戻ることで、その御霊(みたま)が信仰心と共に帰ってくるような気がする」と歓迎している。

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