やすらぎ伊王島売却訴訟 長崎市側争う姿勢

 リゾート施設「やすらぎ伊王島」を長崎市が著しく安価で民間に売却したのは違法として、同市の経営コンサルタント野田博康さん(70)が、鑑定評価額と売却額の差額8億7400万円を田上富久市長に補塡(ほてん)させるよう市に求めた訴訟の第1回口頭弁論が11日、長崎地裁(土屋毅裁判長)であった。市側は請求却下を求め、争う姿勢を示した。
 訴状によると、同施設の不動産価値について、市が依頼した不動産鑑定士は13億1千万円、売却先の「KPGホテル&リゾート」は9億7千万円とそれぞれ評価。市は維持補修や整備の費用がかさむとして建物を無償とし、土地だけの評価額4億3600万円で2017年4月に売却したとしている。
 施設売却を巡っては、原告が8月に住民監査を請求したが、市監査委員は売却から1年としている請求期間を過ぎているなどとして却下。市側は答弁書で、同様の理由から訴えは不適法だとして却下を求めた。

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