誰もが触れるシフトレバー、その形状は様々
自動車を動かすときに誰もが必ず触れる部分であるシフトレバー。最近では一部スイッチになっている車種もあるが、いずれにしても操作する頻度の高い部分である。
そんなシフトレバー、MT車であればほとんどの車種がフロア部分からニョキっと生えているフロアシフトと呼ばれるタイプが一般的だ。一方のAT車でも、クラウンなどのフォーマルなセダンなどは現在でもフロアシフトを採用している車種が多い。
前後左右方向にウォークスルーが容易くなるインパネシフト
それ以外の車種で現在主流となっているのは、インストルメントパネル(インパネ)からシフトが生えているいわゆるインパネシフトと呼ばれるタイプだ。インパネシフトの最大の利点はセンターコンソールを必要としないため、前後左右方向にウォークスルーが容易くなるということ。そのため、現在日本で販売されている3列シートミニバンすべての車種がこのインパネシフトを採用しているほどなのである。
“ベンコラ”なんて言葉も生まれたコラムシフト
その陰でひっそりと姿を消す直前となっているのが、コラムシフトだ。コラムシフトとはその名の通り、ステアリングコラムからシフトレバーが生えているタイプで、インパネシフトが全盛となるまではミニバンから軽自動車まで、幅広い車種に採用された人気のレイアウトだったのだ。
コラムシフトのメリットもインパネシフトと同じく、センターコンソールを廃することができる点にあった。そのため、フロントシートをベンチシート(左右分かれていないタイプ)とし、フロントで3人掛けができる車種が登場して「ベンコラ(ベンチシートとコラムシフトという意味)」という言葉が生まれるほどだったのである。
コラムシフトは絶滅へ…。
しかし、最近ではシフト制御も電子化の波が押し寄せてきており、今までのようにリンケージを這わせて物理的にシフト操作をせずとも、電気的にシフトを変更できるようになってきた。トヨタ プリウスや日産 リーフなどのシフトはまさにそれで、ギリギリシフトレバーが生えている体裁は保っているものの、実のところあれは電気信号を送っているだけなのである(そのためアフターパーツでスイッチ式にするものが存在している)。
そのため、スペース効率には優れるものの、今どのギアに入っているのかが分かりにくいコラムシフトは姿を消すようになり、目視でシフトポジションが確認できる上にウォークスルーも実現できるインパネシフトが全盛となってきたというわけだ。
実際、あれほど多くの車種に採用されていたコラムシフトだが、現在の国産乗用車のラインナップで採用しているのは2008年にデビューした3代目キューブのみ。そのキューブも2019年末をもって生産終了することがアナウンスされており、コラムシフト車両の絶滅へのカウントダウンは刻一刻と迫っているのである。
[筆者:小鮒 康一]