安心な地域医療のために、約1,250の症例画像等をビジュアル解説

2019年11月12日
株式会社 医学書院

医学書院が、医師不足に貢献する新感覚の医学書
見逃してはならない直腸肛門部疾患「おしりの病気」アトラスを刊行

医学系出版社の医学書院(東京都文京区)は、医師不足が深刻な地域医療に貢献する目的で、新感覚の医学書「おしりの病気」アトラス(稲次直樹著)を、11月12日に刊行した。

本書は、地域医療一筋の著者・稲次直樹医師が約半世紀にわたり積み上げた治療記録を、約1,250の症例画像やイラストでビジュアル解説した医学書で、総合診療科をはじめ内科や外科など、診療科が違っていても活用できる内容になっている。

日本の地域医療は今、高齢化社会における医師不足が深刻化していることに加え、今年9月、医療費削減のために、厚生労働省が地域医療支援病院の統合再編を実名公表したことで、全国各地から地域医療を懸念する声が相次いでいる。

増してや痔や直腸がんなどの直腸肛門部疾患は、日本人の食生活の欧米化等から増え続けているが、肛門外科の専門医は全国でも非常に少ないことから、地域での早期発見・早期治療に対する不安は膨らむばかりだった。

著者の稲次直樹医師は、約半世紀前から地域に直腸肛門専門医が少ないことを懸念し、奈良県の地域病院にみずから奈良大腸肛門病センターを立ち上げて、専門医として直腸肛門部疾患の治療に当たりながら、地域の医師が診療科を超えて活用できるように、一つひとつの症例に対して写真と詳しい治療記録を残してきた。

本書は、稲次医師が蓄積した治療記録のうち、見逃してはならない直腸肛門部疾患を約1,250の症例画像とイラストでまとめたもので、“直腸肛門部疾患のバイブル”として活用されることを目指している。
専門家も注目しており、東京大学名誉教授の武藤徹一郎氏は「痔・便秘・炎症性腸疾患・良性腫瘍性疾患・悪性腫瘍性疾患など、いわゆる直腸肛門部疾患のすべてが写真で網羅されている。直腸肛門部疾患の百科事典として広く利用させるに違いない」と期待を寄せている。本書により、地域で疾患が早期発見され、救われる患者が増えることを願ってやまない。