総合優勝は届かずも躍進の2位。安楽は学生二冠を達成

©早稲田スポーツ新聞会

内閣総理大臣杯全日本大学選手権1日目を終え、決勝進出者が3人、敗者復活戦へと駒を進めた選手が4人と総合優勝へ向けて好位置に付けていた早大。6年ぶりの総合優勝を目指し、早大はこの日の敗者復活戦、そして決勝を戦った。決勝へ臨んだ安楽龍馬(スポ2=山梨・韮崎工)が優勝を果たし、米澤凌(スポ2=秋田商)、山﨑弥十朗主将(スポ4=埼玉栄)が2位に入賞。3位にも吉村拓海(スポ4=埼玉栄)、山崎祥平(商1=茨城・土浦日大)が食い込んだが、早大は山梨学院大にわずか4ポイント及ばずの2位。あと一歩のところで総合優勝を逃す結果となったが、早大は前年の8位から大幅に順位を上げ、改めてチーム力の向上ぶりを示した今大会となった。

大会規定により敗者復活戦へと駒を進めたのは岩澤侃(スポ4=秋田商)、吉村、鈴木歩夢(スポ1=埼玉栄)、山崎の4人。敗者復活2回戦で諏訪間翔太郎(拓大)と相まみえた岩澤は、がぶりから押さえ込まれる時間が続いた。試合終了間際にアンクルホールドから相手を返し追い上げたが反撃もここまで。2−3で敗れ7位に終わった。74キロ級の鈴木は明治杯全日本選抜選手権優勝経験もある基山仁太郎(日体大)と敗者復活2回戦で対戦。強敵に対してロースコアの試合を展開し、試合終了直前にバックポイントを奪うなど追い上げたが、1ポイント及ばずここで敗退となった。

3位決定戦へ進んだ吉村は第1ピリオド(P)中盤に投げ技を成功させ大幅リードに成功すると、第2Pにも効率よく加点し8−2で判定勝ち。初日に腰のケガを悪化させていた吉村だったが、「最低限の仕事はできたと思う」(吉村)と手負いの状態ながらも3位に入り、チームの総合優勝へ望みをつなげた。同じく3位決定戦へルーキーの山崎は試合開始直後にタックルからローリングを決め4点を先制。中盤に立て続けに失点し同点に追い上げられたが、試合時間残り25秒に脚にタックルを仕掛けるとそのままフォールへ持ち込み勝利。一階級上の125キロ級での出場ながら3位入賞と堂々の成績を収めた。

3位に入賞した吉村「最低限の仕事はできた」

米澤の決勝の相手はこれまで幾度となく接戦を繰り広げてきた志賀晃次郎(拓大)。第1Pを0−1で折り返した米澤は第2P開始直後にテークダウンを奪われリードを広げられる。3点を追う試合終了間際に2度の場外押し出しで1点差で詰め寄ったが、ラストプレーで仕掛けた攻撃は相手にポイントが認められ逆転はならず。宿敵に惜敗し、悔しさのにじむ2位となった。

山﨑は全日本学生選手権(インカレ)で決勝を戦った石黒隼士(日大)と再び激突。第1Pは相手に主導権をにぎられる展開が続き0−3で折り返したが、第2P序盤にテークダウンからニアフォールに持ち込み逆転に成功する。「最初攻めてくることはわかっていた。ここまではプラン通りに試合を運べた」と振り返った山﨑だったがここからが誤算だった。試合の大勢を決定付けるべくタックルを仕掛けた山﨑はカウンターから投げをもらい再びビハインドを背負う。試合終了間際に猛攻を仕掛け追いすがった山﨑だが1ポイント及ばず。石黒にインカレの雪辱を許すかたちとなった。

決勝を戦った安楽は盤石な試合運びを見せた。「決勝は自分のペースで終始いけた。自分がリードしていても、組み手で相手を圧倒して攻める隙をつくらせないようにしました」と安楽が振り返るように、常に試合の主導権をにぎり続け4−0の完封勝ち。安楽は「点数がどうこうというよりも、自分の動きができていたらいい」と話したが、決勝の戦いぶりはまさしくその言葉を体現していた。

学生二冠を達成した安楽

安楽は今大会の優勝でインカレに続き学生タイトル二冠を達成。「天皇杯へ向けて、インカレと国体の調子のままいくことができるようにここで優勝を」と大会へ臨んでいた安楽はその言葉通りの優勝を果たした。だが、安楽にとって学生タイトルは通過点。一番の目標は強敵ひしめく65キロ級での全日本タイトル獲得だ。「(東京五輪の)枠を狙って勝ちにいって、優勝できるように」。名実ともに学生トップへと躍り出た安楽の目は全日本の頂へと向いていた。

総合優勝にはあと一歩及ばなかった。2位という結果については「自分の決勝も含めて、あと二つ勝てていれば優勝だったので。やっぱり悔しいですね」と吐露した山﨑。だが、今季の早大レスリング部は古豪復活を印象付ける健闘ぶりを見せた。関東学生リーグで3年ぶりの決勝リーグ進出、インカレでは3人が優勝、そして今大会で2位入賞と大きく成績を伸ばした。飛躍の要因を聞くと「4年生がしっかりと結果を残していたことだと思います。下級生もそれに続くように盛り上げてくれた」と主将の山﨑。躍進を続けたチームの根幹には常に自身の役割を果たしてきた4年生の存在があった。ひと月後に待つは天皇杯全日本選手権。早大の選手として最後の戦いとなる4年生をはじめ、着実に力を伸ばしてきた早大の戦士たちは国内最高峰の舞台でどんな戦いを見せてくれるだろうか。

(記事 林大貴、写真 北﨑麗)

集合写真

結果

▽57キロ級
岩澤 7位

▽61キロ級

吉村 3位

▽65キロ級

安楽 優勝

▽70キロ級

米澤 2位

▽74キロ級

鈴木 8位

▽86キロ級

山﨑 2位

▽125キロ級

山崎 3位

総合結果

▽早大 2位

コメント

太田拓弥監督

――この2日間を総括いただけますか

練習でやっていたことをよく出せていました。あと一歩二歩及ばず総合2位というかたちで終わってしまいましたけど、選手も何人か怪我をしているなかでよく頑張れたなと思います。

――決勝には3選手出場しました。この3選手の初日の戦いぶりは

龍馬は自分のレスリングをほぼ完璧にできました。接戦のところがありましたけど、次の試合に備えていたという感じの試合運びだったので。凌も負けた相手に自分のやってきたことをしっかり出せてました。弥十朗に関してもやれていたので、すごく良かったなと。

――最終日は1点差で惜敗した選手がいらっしゃいましたが、その1点に泣いた敗因は何でしょうか

やはり攻めきる力や気持ちの部分など色んな要素がその1点にはすごくあると思いますが、相手の方が紙一重で上だったのではないかと思います。

――3位決定戦に出場した吉村選手は快勝といえる内容であったと思います。どこが勝因であったと思われますか

拓海は実力ありますし、出し切れば間違いなく3位以上の結果が出せると思っていましたが、体重が少しコントロールできなかったりとか、昨晩もサウナで体重落としていて本来の動きではなかったのですが、それでも地力があるので、しっかり今日勝ってよかったと思います。

――同じく3位決定戦に出場した山崎祥平選手は1つ上の階級で戦い3位に登りつめました。そこに関してどのように思われますか

来年以降上の階級で団体戦に使っていくということもあって、チーム編成的に今回の階級になったのですが、祥平らしい最初のタックルはあの階級でも十分通用するということが分かりました。ただ上で勝負する癖があってそれで点数追いつかれたりとか投げられたりとかしていたのでそこはしっかり改善していきたいなと思います。

――米澤選手の決勝相手は今年世界選手権に出場した強敵であったと思いますが、その決勝を振り返っていただけますか

去年のジュニアでもひっくり返されて負けたので、もっともっと凌の良いところを出していければ前半十分勝てるチャンスがあったのではないかと思います。ちょっと場外際で出されたり、後半の入りですぐポイントとられたりしたところで自分のリズムがつくれなかったことが敗因だと思います。

――前半で得点できなかったところが惜しかったところですか

そうですね、もっと積極的に攻めていればチャンスがあったので、もったいない試合だったかなと。

――次に、山﨑選手の決勝を振り返っていただけますか

最初の2分は相手の方が体がひと回り大きかったので結構プレッシャーを受けていたんですが、それ以降は弥十朗のリズムでやれていたので、4ー3になった時点で勝てるチャンスがあるんじゃないかなと思ったのですが、場外際のところでちょっと無理をしてしまって、あそこを2点でもしくは場外に出されていたとしても4ー4だったので、あの4点が後々効いてきて1点差の敗因になったんじゃないかと。もったいなかったですね。

――安楽選手の決勝はどのように思われましたか

もっと差があると思うのですが、決勝戦なので手堅くいったところであれぐらいの差しかつかなかったと思うのですが、もっと積極的に龍馬らしくやっていれば圧倒的に勝てたんじゃないかなと。

――今月の後半に東日本学生秋季選手権がありますが、そこでの目標は

まだ天皇杯の出場権をとっていない者が何人かいますので、そこでしっかりとって早稲田として1人でも多く出したいなと思います。

――すでに天皇杯出場が決まっている選手についてはあと1ヶ月ほどでどこを伸ばしていきたいと思われていますか

間違いなくロースコアでの展開になりますし、また場外際の展開でもあると思うので、そういった展開でも勝てるように。今回の初日の試合はロースコアで結構勝てていた部分があったので、そういったところをしっかり強化して1人でも多く国内の代表をつくりたいと思います。

安楽龍馬(スポ2=山梨・韮崎工)

――優勝おめでとうございます

ありがとうございます!

――優勝したお気持ちは

決勝は自分のペースで終始いけたので、ホッとしてます。

――「今大会は天皇杯に向けて」とおっしゃっていましたが、天皇杯を良い調子で迎えることはできそうですか

そうですね、天皇杯まで1ヶ月あるので、しっかり今回の試合での反省点を改善して、反復練習をして、完璧なコンディションで迎えたいと思います。

――今日のコンディションはどうでしたか

しっかり体重も落ちて、時間もあったのでリカバリーもして万全な状態で迎えられたので、しっかり集中して油断せずに試合すれば勝てるだろうと思いました。

――「決勝はしっかり集中して」と昨日おっしゃってましたが、集中して臨めましたか

自分がリードしてても、組み手で相手を圧倒して攻める隙をつくらせないようにしました。組み手もバリエーションを増やして。そういうことができたので、プラスだったかなと思ってます。

――決勝では4点獲得されましたが、この点数については

そんなに点数がどうこうというよりも、自分の動きができていたらいいので。チームからは安定していたと言われました。点数的には4ー0、もう少し獲りたかったですけど、まあ勝ち負けにしっかり集中して。空回りするとまずいのでそこはちょっと気を引き締めました。

――無失点に抑えられたという点についてはどのように思われますか

終始自分のペースだったので、相手が攻めにきても全然対応できたし、心配はしてなかったですねそこは。

――安定した試合運びができたと

そうですね、自分の中では普通にできたので満足です。

――次は大一番の天皇杯ですが、そこへ向けての意気込みを最後にお願いします

まだ東京五輪が自分の階級は決まっているわけではないので、枠を狙って勝ちにいって優勝できるように。恥ずかしいですけど、人生をかけるというか、しっかり練習してメンタル面も整えて迎えられたらいいなと思います。恥ずかしいですねやっぱり(笑)。