イノシシ、眉山でわが物顔 家庭菜園・芝生被害深刻【あなたとともに~こちら特報班】 

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イノシシによって掘り返された芝生。右奥はモラエス像=徳島市の眉山山頂

 イノシシに家庭菜園を荒らされて困っている。眉山の南に位置する徳島市八万町宮ノ谷の70代女性から、徳島新聞「あなたとともに~こちら特報班」に、こんな相談が寄せられた。眉山と山麓一帯は鳥獣保護区のため捕獲方法が制限されている。市などを取材すると、イノシシの被害が深刻化する一方で、駆除の妙案がなく対応に困っていた。

 女性の菜園がイノシシの被害に遭ったのは10月下旬。白菜とピーマンの苗が茎ごと掘り返された。地中のミミズや昆虫を狙って侵入したとみられる。6、9月に続き3回目の被害で、女性は「『次こそは』と生育を楽しみにしていたのに」とやり切れない様子で語った。

 その2日前には眉山山頂の眉山公園で、芝生が100メートル以上にわたって掘り返されているのを女性が見つけたばかりだった。公園にはポルトガルの文人モラエスの銅像があり、市の名所は無残な姿になっていた。

 公園を管理する市公園緑地管理公社によると、被害は2017年10月ごろから発生し、修復するたびに荒らされるという。眉山中腹の西部公園や、麓のニュータウン城南台公園でもいたちごっこが続いている。

 住民への被害も出ており、17年10月には南庄町3の市道で、自転車に乗っていた70代女性がイノシシと正面衝突し、頭と足にけがを負った。

 市農林水産課によると、本年度の眉山一帯での目撃情報は例年並みの15件。北は南庄町から南佐古地区、南は八万町を中心に住宅地での出没が目立つ。県猟友会の理事は「山林の管理が手薄になって耕作放棄地が増えたため、イノシシが餌を求めて人家に近づきやすくなった」と話す。

 対策を講じようにも眉山は鳥獣保護区のため、捕獲が禁止されている。市などは目撃情報が増え始めた10年ほど前から、唯一認められた箱わなによる駆除を始めた。山中や麓の寺、民家の敷地に約40基を仕掛け、年間約150匹を捕獲している。しかし銃器や「くくりわな」に比べて効果は薄い。

 市担当者は「費用面から考えても、箱わなを年間4、5基ずつ地道に増やすしか手はない」。被害防止策としては▽イノシシを見掛けても近寄らない▽食べ物を与えない▽大声を出すなど刺激を与えないを挙げた。

 イノシシによる農作物被害 県によると、2018年度の実被害面積は24.3ヘクタール(前年度比6%減)、被害額は4011万円(5%増)。捕獲数は7451匹(増減なし)。鳥獣全体の被害額は1億321万円(7%減)で、10年連続で1億円を超えた。イノシシ、シカ、サルの順に被害が多く、全体の94%を占めている。