タトゥー外国人も温泉に 渋川市が伊香保旅館組合に要請 民族文化理解し誘客へ

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 2020年の東京五輪・パラリンピックの開催に伴って多くの訪日外国人客(インバウンド)が訪れることを見込み、群馬県渋川市は12日、渋川伊香保温泉観光協会(大森隆博会長)と伊香保温泉旅館協同組合(高橋秀樹理事長)に、タトゥー(入れ墨)を入れた外国人が入浴できるよう配慮を要請した。海外にはニュージーランドのマオリのようにタトゥーを神聖なものとする文化があるため。五輪を機に多様な文化や伝統、慣習への理解を促し、多文化共生社会の実現につなげる。

 高木勉市長から要請文を受け取った両団体は「さまざまな文化を理解しながら、他のお客さまにも理解してもらうのが観光業界の責務」などと賛意を示した。組合加盟の44旅館・ホテルに趣旨を伝えるとともに、文化的なタトゥーを受け入れることを表明する掲示物を検討する考えだ。

 市は五輪でニュージーランドとモーリタニアを相手国としてホストタウン登録している。両国の関係者を招いた交流を計画しており、伊香保温泉での宿泊も想定される。高木市長は「民族としてのタトゥーは尊重すべき文化。施設に趣旨を理解してもらい、入浴できるよう配慮してほしい」と求めた。

 高橋理事長によると、これまで加盟施設から外国人のタトゥーに関する苦情や相談が組合に寄せられたことはないという。今後の受け入れは各施設の判断に委ねるが、「一般のお客さまにも、さまざまな文化を持った外国人が楽しんで観光しているということを理解してもらうよう努力したい」と述べた。

 同協会によると、年間約100万人の宿泊客のうち外国人は約1.3%。関口征治副会長は「他の温泉地に比べるとまだ少ない」として、柔軟な外国人対応の必要性を指摘した。

◎県内の旅館が対応模索

 タトゥー(入れ墨)を入れた客の入浴を巡り、県内の温泉旅館は対応が多様化している。タトゥーに嫌悪感を抱く客もいるため掲示物で入浴を断る施設が多いが、タトゥーのある客を受け入れる旅館もある。訪日外国人客(インバウンド)の増加が見込まれる中、各旅館は誰もが利用しやすい方法を模索している。

 草津、水上、四万の各温泉地によると、対応は旅館ごとに異なり、タトゥーを隠すシールを渡したり、貸し切り温泉や風呂付きの部屋を提案したりしている。

 日帰り入浴施設を運営する草津観光公社は「申告があれば断るが、全員を確認できるわけではない。トラブルが起きないように細心の注意を払っている」と説明する。

 一方、四万温泉の柏屋旅館(中之条町)は、ホームページで外国人向けに英語で「タトゥーOK」とアピール。「入れ墨イコール暴力団ではなく、全部駄目というのはナンセンス。多くの人が楽しめる環境をつくれれば」としている。