フェイクか、真実か UFO研究家にその真偽を問う映画『虚空門GATE』 このドキュメンタリー、絶対当たる!

写真は虚空門GATEオフィシャルサイトより(https://gate.salon/)

久々にパンチの効いたノンフィクション映画が登場した……そう言いたくなる怪作(快作)だ。現在、渋谷・イメージフォーラムで上映中の『虚空門GATE』は、黎明期のAV業界、日活ロマンX、さらにアントニオ猪木の北朝鮮興行を記録した『猪木道』等で存在感を発してきた、小路谷秀樹監督の一般映画デビュー作。

本作は、UFOコンテクティにして俳優の庄司哲郎を中心として進行していく。序盤は、「UFOを呼べる」庄司がその能力を十二分に発揮して、驚愕のシーンが続く……という期待感(?)を観客に抱かせていく。ところが、途中、ある「事件」が起こったことで急展開を見せ始める。

ネタバレになるので、詳細は映画館で確認して欲しいが、こんな展開があったのか、まさか監督も予期していたワケではあるまい! という内容と言っていい。そこからは、なにが虚で、なにが実なのか?まさに虚空を漂うがごとく、進行していくのだ。そんなとき、小路谷監督のカメラは、時に(残酷なほど)登場人物たちの素の顔を映し出すのだが、そこがまたなんとも言えない緊張感を生んでいる。

独特の空気を生む一因には、庄司を始めとする「UFO村」と言って差し支えがあれば、UFO・スピリチャル界隈の人々たちの存在感があると言えよう。名前をあげれば、映画の冒頭に登場する超能力者の秋山眞人氏、雑誌『ムー』の三上丈晴編集長、スピリチャル界の大御所・エハン・デラビィ氏、そして本作で重要な役目を果たすUFO研究家・竹本良氏などだ。

実は筆者も、とあるグラビア雑誌の創刊時、UFOやUMA(未確認生物)あるいは、スピリチャル系を相当期間担当しており、前述した人たちのなかにも、お世話になった方がいる。それだけに、村の存在感を“それとなく”あぶりだした本作はある意味、小気味よい。

ただひとつ、懸念するのは、「ああ、トンデモ系の人のドキュメントね」と思われてしまうことだ。UFO系はとかくトンデモの一括りで済まされてしまいがちだが、今回、小路谷監督が描いたのは、トンデモと呼ばれる人たちの存在であり、その虚実であり、想定外のアクシデントであり、また一面「愛の映画」だ。さらに言えば、UFOそのものも、しっかりとカメラは捉えている。為念。

少なくとも、先入観を持たずに見てもらえば、いい意味での“予想外”を得ることが出来るであろう。近年の商業ドキュメンタリー映画としては、出色であることは間違いない。(文◎鈴木光司)

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