[InterBEE2019]ソニー、InterBEE2019出展概要を発表。IPを活用したソリューションや、4K/HDR高画質映像制作機器を提案

ソニーは、2019年11月13日から15日の期間中に千葉・幕張メッセで開催される国際放送機器展「Inter BEE 2019」に出展する(ホール6/No.6113)。

同社ブースでは、「ともに創る。ともに進む。」をテーマに、昨年から実用放送の始まった4Kや8K映像をはじめとした高付加価値の映像を効率的に制作するソリューションを幅広く提案するとしている。

ブースでは、IPを活用した効率的な映像制作ソリューションやライブ制作から映画・CM・ドキュメンタリーなどの番組制作に至るまで各分野で活用されるカメラ商品群の最新の取り組みを紹介。また、これまで培ってきた映像制作分野での知見とAI技術を生かした新しいソリューションも展示している。ブースには、大画面9.7m×5.4mのCrystal LEDディスプレイシステム(8K×4K構成)を設置し、リアリティーあふれる8Kコンテンツなどを上映している。

(以下、プレスリリースより引用)

1. IP Live プロダクションシステムを中心としたライブソリューションを拡充

ソニーは、4Kライブ映像の効率的な制作を実現すべく、映像や音声、同期信号などの伝送を一括してIPネットワーク上で行う「IP Live プロダクションシステム」を推進しています。システム全体を制御するIP Live システムマネージャーにくわえて、独自開発のIP伝送技術「ネットワーク・メディア・インターフェース」に対応したSDI-IP変換ボード、システムカメラ、スイッチャー、リプレイサーバーなど幅広い対象機器を展示し、これらを100Gのネットワーク回線※1で接続した4Kリモートプロダクションの実演を行います。また、新商品としては、より大規模な放送システムのIP化対応のニーズの高まりに応え、複数機器の統合的な制御や監視を実現するソリューションとして「Live Element Orchestrator(ライブエレメントオーケストレーター)」を国内市場に展開し、ブースでも展示します。

なおIP伝送技術の国際的な標準規格である「SMPTE ST 2110」対応機器の拡充にも取り組んでいます。IP Liveプロダクションシステムは、これまでに世界各国で60以上の中継車・スタジオにて採用されています。 国内の導入事例は36件あり、直近では2020年3月に稼働を開始予定の朝日放送テレビ株式会社様のBスタジオサブシステムに関連システムの納入を予定しています。

※1 東日本電信電話株式会社様/株式会社インターネットイニシアティブ様のご協力です。

主な新商品

放送設備の効率的な活用をサポートするソリューション「Live Element Orchestrator」
これまで大規模なシステムで機器共有(リソースシェア)をする際、機器ごとの煩雑な設定変更が課題となっていました。Live Element Orchestratorはこの課題を解消し、複数のシステムや他社製品を含む機器の統合的な管理およびリモートプロダクション運用時に特に重要なネットワークの監視を実現するソリューションです。当ソリューションにより例えば、スタジオサブシステムや中継車に設置されたカメラやスイッチャーなどの映像制作機器の設定や監視を一元的に行え、従来個別に手動設定が必要だった作業をシステムから簡単に行うことができます。また、各機器の状態監視、アラート機能を統合することで、ワークフローの効率化やダウンタイムの短縮、運用の省力化を実現します。接続する機材数や用途にあわせ、有償ライセンスにてソリューションを提供します。今年11月下旬より受注を開始します。

マルチフォーマットスタジオカメラ「HDC-5000」およびカメラコントロールユニット「HDCU-5000」
グローバルシャッター機能付き3板式4Kイメージセンサーを搭載し、ウルトラハイビットレート(UHB)伝送にも対応したマルチフォーマットスタジオカメラ「HDC-5000」を、国内市場からの高いニーズに応えて、発売します。2019年5月の発売以来、高い評価を得ているマルチフォーマットポータブルカメラ「HDC-5500」をベースに、大型レンズの直接取り付けに対応し、スタジオ・中継現場での撮影に適した機能を加えて開発したカメラです。また、2つの光ファイバーコネクターを搭載し、UHB伝送と従来の伝送方式の両方のカメラに対応したフルラックサイズのカメラコントロールユニット(CCU)「HDCU-5000」を同時に発売します。

参考出展

ピクチャーモニター
2020年夏の商品化を目指し開発を進めている、24型4K(3840×2160)液晶ピクチャーモニターをブースにて参考出展します。4K HDR映像制作に適した全白1,000cd/m2と幅広い色域、広い視野角に加え、12G-SDIやHDMIなどのインターフェースを備えています。番組制作のロケ用途、放送局のスタジオサブや映像編集室での使用に加えて、映画・CM制作用など、幅広い映像制作の現場に提案していきます。

2. 高付加価値映像を実現するカメラ商品群

今年9月開催の国際放送機器展「IBC(International Broadcasting Convention) 2019」(オランダ)で発表した、新開発フルサイズ※2イメージセンサー搭載メモリーカムコーダー「FX9」や、大口径広角ズームレンズ「FE C 16-35mm T3.1 G」、XDCAMショルダーカムコーダー最上位機種「PXW-Z750」や、デジタルワイヤレスマイクの商品群などを一同に国内初展示。さまざまな映像制作者のニーズに応える最新カメラシステムを紹介します。

※2 横約36mm×縦19mm相当です。

3. アーカイブソリューション

大容量5.5 TB※3のオプティカルディスク・アーカイブカートリッジ「ODC5500R(追記型)」と、平均3Gbps(375 MB/s)※4の高速データ転送を実現する光学ドライブユニット「ODS-D380U」や「ODS-D380F」で構成される、オプティカルディスク・アーカイブ第3世代を発売します。第3世代は、2016年発売の第2世代と比べて、1カートリッジあたりの容量は約1.7倍、転送速度は約1.5倍となり、より多くのデータを効率的に保管できます。

映像制作分野では、すでに多数の放送局やプロダクションで採用されていますが、新商品発売に伴い、さらに、教育機関、医療機関やバイオ・ライフサイエンス分野などを含む研究機関、公共団体や企業の重要なデータ資産管理におけるソリューションとしても提案していきます。なお、これら新商品と組み合わせて運用できる拡張型高容量光ディスクライブラリーシステムの商品化に向けて、データストレージソリューションなどを手掛ける米国のQualstar(クアルスター)社と共同開発も進めており今後もアーカイブソリューションを進化させていきます。

※3 物理容量。ユーザー使用可能容量は表示サイズより少なくなります。
※4 「ODC5500R」使用時の読み出し平均転送速度。使用される環境等にも依存します。

4. その他新規ソリューション

これまで培ってきた映像制作分野での知見とAI技術を生かして、より効率的な映像制作ソリューションの提案を広げています。例えば、ソニービジネスソリューションの開発した音声解析AIエンジン技術を含むソリューションは、すでに放送コンテンツの制作分野で活用され始めています。

ブースでは、ソニービジネスソリューションが展開する「AI解析ソリューション」や、SNS上に投稿された情報をAIが解析し必要な情報のみを自動収集するリアルタイム速報サービス「Spectee」、音声合成技術を活用し音声読み上げを行うAIアナウンサー「荒木ゆい」など、スペクティ社の販売パートナーとして提供するソリューションも展示します。

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