圧巻! 約50台の新型スープラが北米最大のカスタムカーショーで一斉展示【SEMAショー2019】

GReddy GRスープラ SEMAショー2019

1.デビュー間もないGRスープラのカスタムカーが早くも50台近く!

今回のSEMAショー会場には、屋外展示ふくめて46台のGRスープラが出展された。これは筆者同行のカメラマンが4日間で50km以上を歩いて探し集めた46台だ。

主催者が発表する出展リストには、トヨタブース以外はわずか10台程度なので、実際に歩いて探すほかはない…東京モーターショー2019の東京ビッグサイト会場には1台も展示されていなかったGRスープラだが、SEMAショーには大量の、しかも最新のエアロを身にまとったチューンドモデルばかり!

米国での最新スープラチューニング事情とは

GReddy代表 住野氏 SEMAショー2019

まずは、GReddy代表の住野氏に米国での最新スープラチューニング事情を聞いてみた。

GReddyは、トラストの海外ブランドで米国でも日本のトップチューナーとして信頼を得ている人気ブランドだ。SEMA SHOWには1994年から出展しており、95年から四半世紀にわたってUS仕様のパーツをアメリカで開発している。

■GReddy代表 住野氏のコメント

「GRスープラは、BMW製エンジンのおかげで発売されて間もない時期からボッシュのECU チューニングオプションなど、500馬力くらいの仕様が出回って来ました。とにかくクルマのポテンシャルが高いためポン付けのパーツで700-800馬力は割と簡単に出せるんですよ。80スープラも確かに良かったですが、可能性の広がり方は段違いですね。

アメリカにおいては、BMWのチューナーがどんどん市場に出てくると同時に、GRスープラのチューニングが急速に進んでくるでしょう。R35 日産GT-Rと比べると、R35はコンピュータアクセスできるまでに1年半かかりましたが、GRスープラはファームウェアがない状態でも2-3か月でアクセスできました。

また、3Dプリンターをはじめ最新のテクノロジーを活用すれば、例えば削り出しのインマニやサージタンクも3週間くらいでできましたね。昔は寸法を測ってこまごまと調整して、もっと時間がかかっていましたが…いまは1回モデルを描いてしまえばプログラムを送ってすぐプレートが作れます。」

2.注目のチューンドGRスープラは?

それでは、今回出展された46台のGRスープラの中から特に注目したいGRスープラを紹介してみよう。

世界初6速MTのGRスープラ登場!

出展ブースはautoguide.comという自動車のウェブメディアである。「世界最大」を名乗っており、月間PVは2億4500万以上。このブースに出展していたのがEuropean Auto Group(EAG)による世界初の6速MTに換装したGRスープラである。

EAGの担当者曰く、「凄く苦労した。MTの設定がそもそも存在しないから合いそうな部品をたくさんBMWから取り寄せて、ひとつひとつ当てはめた。ECUやパドルシフトはそのままなので、まだ今後改良が必要だが、MTに換装しただけで出力もスピードも大幅に上がったのには驚いた。GRスープラのポテンシャルはものすごく高い」とのこと。

GRスープラ マニュアル車 SEMAショー2019
GRスープラ マニュアル SEMAショー2019

なお、GRスープラ6速MT換装は130万円で可能だそうだ。「換装するとトヨタの保証がなくなるから、その代わりにEAGが保証する!」とのことで安心度も高い?

ちなみに、この会社はマニュアル換装チューニングを得意とする会社で、フェラーリ430スクーデリアについても世界初のマニュアル換装を成功させている。また、今後は新型C8コルベットでもマニュアル換装を考えているそうだ。

GReddy Performance Products GPP-A90

GReddy GRスープラ SEMAショー2019

前出の住野氏率いるGReddy USAによるチューンドスープラ。

実は、GReddyは今回屋内と屋外と2台のGRスープラを出展しており、このGPP-A90はフォーミュラドリフトを戦うマシンだ。米国トヨタによる「BEST GR Supra in SEMA2019」の1位に選ばれている。ちなみに2位はWHITELINE、3位はROHANAホイールが獲得。

エンジンは純正(B58)のままでボルグワーナー製ターボチャージャーの装着により、340hpから約600hpまでパワーアップ。迫力あるボディキットは、SEMAでもおなじみ世界のKei Miura氏によるPandemを装着する。

ベストスープラに選ばれた理由を代表の住野氏は、「2か月という短期間でここまで深く、高い完成度を持って仕上げたことに評価をいただいたと思う」とコメントした。

トヨタ副社長VS人気テレビ司会者のスープラ対決を制したのは?

米国トヨタは今回、SEMAのトヨタブースにノーマル3台含め合計17台ものGRスープラを出展した。ちなみにスープラ以外は、カムリとアバロンのみ。スープラ祭りが徹底して開催されたのだ。

また、ここでは日本ではありえないユニークな試みを行っていた。それは、米国トヨタ副社長とNASCARをはじめとするアメリカNBC人気司会者との「GRスープラ対決」である。

2人の掛け合いはSEMAトヨタブースの楽しみの一つで、多くの人がプレスカンファレンスに集まっていた。

米国トヨタ副社長企画 GRスープラ ヘリテージ・エディション SEMAショー2019
NBC司会者企画 GRスープラ ハイパーブースト・エディション SEMAショー2019

副社長のエド・ラウケス氏がコンセプトを作ったGRスープラは、「ヘリテージ・エディション」で、こちらはGRスープラをベースに80スープラへのオマージュにあふれた1台。テキサス州にあるMTCとLGモータースポーツの共同開発によって開発された大型リアウィングも80スープラ用をGRスープラに合わせて修正されている。ボディカラーも80スープラのイメージ色である「Re-Entry Red」を採用。プレシジョンターボ&エンジン社製ターボチャージャーを装着しやエンジン出力は500hp以上。

一方、NBC司会者のラッドレッジ・ウッド氏が企画した「ハイパーブースト・エディション」は、その名の通りハイパワーなエンジンが特徴。LL17モータースポーツとの共同製作で作られた“Boost Logic”のカスタムターボキットによって純正の340→750psと2倍以上のパワーを獲得している。

米国トヨタが主催し、Twitter上での「スープラ対決」が行われた。その結果がこちら。

ツイッター アンケート結果 SEMAショー2019
米国トヨタ副社長 エド・ラウケス氏/NBC司会者 ラッドレッジ・ウッド氏 SEMAショー2019

やはり、アメリカにも80スープラを愛する人が多いのだろう。ハイパワーなスープラよりも80スープラへの愛にあふれた「ヘリテージ・エディション」が勝利した。

紫の極悪テイスト!? 最もクレージーなGRスープラはこれ!

ユーチューバーが手がけた極悪スープラ!?

GRスープラ SEMAショー2019

他40台以上のスープラとは見た目からして、明らかに異質なのがこの紫色のスープラだ。

展示場所も最も人目に付きやすい中央通路で、ここには人気ユーチューバー、チャンネル登録218万を誇る 「TheStradman」が所有するショッキング・パープルのワイドボディスープラが出展された。

ボディキットは、Kei Miura氏デザインのロケットバニー製を装着。詳細は不明だが、Fiエキゾーストの排気システムを装着している。エンジンはノーマルと思われる。紫は「TheStradman」のトレードマークカラーだそうで、同色のアヴェンタドールも出展し、さらにアヴェンタドールを積んだトラックも同じ色に統一されていた。ユタ州から2時間かけて彼自身の運転によってラスベガスまでやって来た。

[筆者:加藤 久美子/撮影:加藤 博人]

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