【プレミア12】前夜敗戦の侍J、絶対に負けられない一戦 専門家が見る全勝メキシコの実力は?

侍ジャパン・稲葉監督【写真:福谷佑介】

全勝のメキシコは「投打のバランスが非常にいい」、勝利へのポイントは

■日本 – メキシコ(プレミア12・13日・東京ドーム)

 野球日本代表「侍ジャパン」は13日、東京ドームで行われる「第2回 WBSCプレミア12」(テレビ朝日系列で放送)のスーパーラウンド第3戦でメキシコと対戦する。侍ジャパンは12日のアメリカ戦に3-4で競り負け、今大会初黒星。スーパーラウンドは2勝1敗となった。一方で、メキシコはオープニングラウンドから無傷の5連勝。日本、韓国との対戦を残し、スーパーラウンド3勝0敗で首位に立っている。

 今大会の“ダークホース”として快進撃を続けるメキシコの強さはどこにあるのか。もう1試合も落とせない日本が勝つために必要なことは何か。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、昨季まで2年間はヤクルトでバッテリーコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏は、「メキシコは投打のバランスが非常にいい」と指摘した上で「日本の投手陣はメキシコ打線の粗さをしっかり突ければ大丈夫」と話した。

 野口氏は12日にメキシコがオーストラリアを3-0で下した12日の試合を解説。メキシコの印象について「まずは投打のバランスが非常にいい。メキシコで開催されたオープニングラウンドで派手に打ったので、打撃がすごく目立っていますが、投手陣はすごくいいですね。140キロ台後半の真っ直ぐを投げられる投手が多く、150キロに届く投手もいる」と明かす。さらに、それを生かす“頭脳”もあるという。

「キャッチャーがいいのか分かりませんが、オーストラリア戦ではすごく考えられたゲームプランを立てていました。1巡目はフォーシームとスライダーだけで抑えて、オーストラリア打線は2巡目にアジャストしてくるところがあるので、それに対して配球をガラッと変えていた。カーブも使い始めて、(1巡目に)全く使っていなかったチェンジアップをちょっと多めに入れて、速球がフォーシームじゃなくてツーシームになっていた。2巡目も抑えたことで、オーストラリアは元々決していい打線ではないものの、面食らってしまって、結局は4安打に抑えられました。

 日本に対してもいろんなプランニングしていると思うので、1巡目と2巡目に攻め方が変わってくることはまた考えられます。1巡目に捕まえられればそれが一番いいでしょうが、捕まえられなくても2巡目はちょっと違う配球でくるぞというのが頭の片隅にでもあれば、対応していくのに助けになるのかなとは思います」

「プラン」を大事にするメキシコは「今永を丸裸にするくらい映像を見ていると思う」

 実際に、メキシコ代表のフアン・カストロ監督はオーストラリア戦後の記者会見で「いい試合だったと思う。豪州の選手は我々のピッチャー陣と戦っていたが、予定通りの試合ができたと思います」と振り返り、日本戦と15日の韓国戦に向けて「大会前に色々と考えて準備してきた。我々のチーム全体が強いと考えている。考えたプラン通りにやっていきたい」と話していた。侍ジャパン対策も入念に練っているかもしれない。

 では、打線はどうか。野口氏は「1番のジョーンズと3番のキロスが非常に振れている。オーストラリア戦では7番だった元中日のクラークも好調です。2番のペリオはオーストラリアの投手にタイミングが合いませんが、調子自体は悪くなさそうなので、上位打線はしっかり抑えることが鍵になります」と指摘。「粗さもある」というが、先発の今永は細心の注意を払う必要がありそうだ。

「粗さ、振り回している感じはあります。そこをしっかりと日本の投手陣が突いていければ。ただ、日本の先発の今永は最近の試合でコントロールが安定していないので、投げミスをして打者の手が伸びるようなゾーンに入ると……。メキシコのバッターは粗さがあるとはいうものの、振ることに関してはアメリカ打線以上かもしれないので、ちょっと怖さはあります。少々ボールでも振ってくるから気持ち悪さもある。カストロ監督はオーストラリア戦もプラン通りだったと言っていたので、日本への対策も練っているでしょう。今永を丸裸にするくらい映像を見ていると思います。中南米の選手は、速い真っ直ぐでも甘く入ると怖さがある。まずは、しっかり緩急をつけていくことが大事でしょうね」

 メキシコは日本に勝てば決勝進出となり、今大会でのアメリカ大陸最上位国に与えられる東京五輪出場権の獲得が決まる。モチベーションも高いはずだ。米国戦の敗戦から切り替え、1勝をもぎ取れるか。侍ジャパンの“底力”が試される。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2