トヨタ高収益は下請けの犠牲の上に成り立っている? いやTNGAの成果が出ている

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 米中貿易摩擦を原因とする中国市場の減速、それに伴う円高傾向など、逆風が吹く世界の自動車市場であるが、トヨタは販売台数を伸ばし、純利益率も伸ばしている。「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング&サービス、電動化)」の技術開発にかかる投資がかさむ中で、純利益を伸ばしている訳はなぜか?

 トヨタが進めてきたHVからPHEVに繋がる流れ、その先にあるBEVの市場の増大、それに電池開発競争は熾烈を極め、全固体電池開発の実用化はまだ先の話だ。しかし、実用化が始まれば、急速にBEVに変わっていくことも考えられる。水素電池はインフラ整備に資金がかかり、急速な変化は望めない。EVならば、充電スタンドは展開が急速に望めるので、後は電池開発にかかっていると言えるのだろう。

 また、AI自動運転には膨大な教師データが必要で、各社は競ってAI開発分野に先行投資している。最先端を行くのはソフトバンクグループだが、やはり最先端分野の見通しは難しいようだ。投資の失敗による巨額の損失が出た現在、先行投資は鈍ってしまうのであろう。

 「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」にビジネスモデルが変わりつつある流れの中で、第4次産業革命とまで言われる市場の変化に対応していくのは容易ではあるまい。しかし、勘違いしている専門家が多いのは、生産工場の重要度は変わらないということだ。どんなにソフト開発が重要になっても、ベースとなる車体はパソコンのように単純に生産は出来ないからだ。

 これはテスラの失敗に学ばねばならない。しかも、トヨタのように大規模生産メーカーほど、造り方で利益は決まってしまうからだ。単純にヒット車種を狙って開発しても、利益が出ないこともあり得るのだ。ホンダが、その罠にはまっている。トヨタとマツダは、最先端の造り方がどのような方向性であるのかを同一視しているので、協業が進むであろう。

 トヨタ高収益の裏では下請けが犠牲になっているとの指摘も出ているようだが、トヨタ系列の下請け企業に、サプライヤーとして独立した営業をするように指示が出ている。一方で、企画・設計段階からサプライヤーの参画を必要としており、トヨタが下請けの経営権を手放すことはないであろう。あくまでも、拡販をして技術投資資金回収の期間を短縮する狙いであるのだ。

 トヨタと言えども、技術開発費1兆1千億円規模を毎年続けることは苦痛であろう。その証拠に、スバル・マツダ・スズキなどと緩やかな協業体制をとり、それぞれの企業が得意分野に投資を絞って、結果を持ち寄って生き残りを図る考えだ。

 そして、競合企業は同じ自動車メーカーとは限らなくなってきた。EV化、AI自動運転化などで、グーグルやアマゾンなど顧客へのネット窓口を押さえている企業も、自動車産業に加わってくる可能性が高い。特に生産技術の進歩で、順序生産・スイング生産などが出来るようになり、自動車も基本は家電のようにカタログ販売が常識となった時、産業革命が起きる可能性が高い。

 単純に下請けを犠牲にして利益を出せる状態にはない。つまり、技術開発費を下請けに押し付けて利益を出したふりをするような規模の変化ではないのだ。EV・自動運転で世界は変わると信じたい。しかし、後30年はかかると見るのが正しいのであろう。