石木ダム建設事業 工期3年延長を承認 長崎県評価監視委が意見書

中村知事(左)に意見書を手渡す井上委員長=県庁

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県公共事業評価監視委員会(井上俊昭委員長)は13日、工期を3年延長するとした県の方針を認める意見書を中村法道知事に提出した。意見書を踏まえ、県は今月中にも延長を決定する見通し。石木ダムの当初の完成目標は1979年度だった。延期は9回目になる。
 同委員会は県が実施する公共事業について知事の諮問に応じて審議する。石木ダムについては、水没する県道の付け替え道路工事が反対派の座り込みなどで遅れたとして、2022年度としてきた完成目標を25年度に延期する方針を県が諮問。委員会は治水面を再評価し、工期延長と事業継続を承認した。
 県庁で意見書を手渡した井上委員長は「想定できないような大雨被害が起きている。ダムは必要という意見が(委員会では)大方だった」と話した。中村知事は報道陣の取材に「工事の遅れを理解いただいた。県民の安全安心のため、一刻も早い事業完成を目指す」と話した。
 一方、同事業を巡っては、担当課の河川課長が10月、川棚町内であった推進派議員らによる意見交換会で「災害は追い風」という趣旨の発言をし、建設予定地の住民らが知事に謝罪を求めている。発言について中村知事は「言葉足らずだった」とし、誤解を招きかねない内容だとして本人に口頭注意したと述べた。一方、市民団体「くらしと地域を考える長崎市民の会」(代表委員・吉田省三元長崎大教授)は13日、発言に対する抗議文を県に提出。被災者への配慮を欠き、特定の立場に肩入れした発言だとして担当課長の辞職と知事の謝罪を求めた。

© 株式会社長崎新聞社