ペットテック市場に関する調査を実施(2019年)

2018年度のペットテック(ペット×IT)市場規模は7億4,000万円~飼育者への認知の広がりと技術進展による機能向上で2023年には50億円規模まで成長~

©矢野経済研究所

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のペットテック市場を調査し、市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2018年度の国内のペットテック市場規模は小売金額ベースで、前年度比321.7%の7億4,000万円と推計した。

ペットテック(PetTech)とは、ペットとTechnology(技術)を組み合わせた造語で、IT技術を活用したペット飼育者を支援する商品やサービスの総称であるが、国内市場では現時点で見守りカメラ、ペットロケーター(ペット検知・探索機器)、猫用スマートトイレ、犬の活動量や感情を分析するデバイスやアプリなどが存在する。
見守りカメラは、AIを搭載し、飼育者の留守中に犬をモニタリングし、犬が飼育者とコミュニケーションを求めている場合にスマートフォンに通知する商品や、自動追尾機能でペットをいつでも見られるようにした商品、ディープラーニングで犬や猫を認識してその映像のみを切り取り、飼育者に送るアプリなどがある。また、猫の尿の量や回数のほか、体重などを測定し猫の健康状態を管理する猫用スマートトイレは、猫の顔認証で個体識別する商品のほか、首輪に個体識別バッジをつけて識別する商品も存在する。
ペットロケーターは、GPSを採用する商品のほか、迷子猫の捜索用にBluetoothの発信機の電波をスマートフォンで受信して位置を特定する商品もある。

国内ペットテック市場には、2016年頃から徐々に大手企業やベンチャー企業により、これまで存在しなかった新発想の商品が登場し始めた。この背景には、AIなどの技術が実用レベルまで進歩したことで、ペット用品に応用されるようになったことがある。また、クラウドファンディングにより、新規商品のアイデアを有するベンチャー企業と当該商品に賛同する飼育者からの資金調達が可能になったこともある。ペットテック商品は開発用途が同様であっても、使用する技術や手法は様々である。参入企業各社は飼育者ニーズに着想をえながら、仕様や機能などにおいて技術開発を進めている。

ペットテック市場規模推移

2.注目トピック~マイクロチップ装着の義務化と今後の可能性

犬や猫に所有者の情報を記録した「マイクロチップ」の装着を義務付けることなどを柱とする改正動物愛護法に関心が高まるなか、ペット用のマイクロチップが注目されている。ペット用マイクロチップは、生体個体を管理・識別するためのもので、ISOに準拠した15桁の情報を記録し、専用リーダーで登録番号を読み取り、当該個体の登録番号を登録団体で照合することにより飼育者(所有者)が判明する仕組みである。
マイクロチップは、あくまでも迷子になり保護された犬や猫を飼育者の元へ帰すための記録装置である。そのため、マイクロチップの情報量はある程度限定されるが、独自技術でマイクロチップを小型高性能化させることに成功し、ISO準拠の15桁にも対応しながら、独自のユーザーメモリー機能を搭載することで記録情報を増やし、その追加情報として動物病院の電話番号登録を可能にするメーカーもある。

3.将来展望

国内のペットテック市場規模は、2018年度から2023年度までの年平均成長率(CAGR)46.7%で推移し、2023年度には小売金額ベースで、50億3,000万円までの拡大を予測する。

ペットが家族の一員としてより身近な存在となるなか、ペットのヘルスケア分野の商品展開が活発化している。既に一部のペットテック商品は、クラウド上へのデータ蓄積が始まっており、今後こうしたペットの行動に関わる蓄積データ(ビッグデータ)の本格的な解析が進むことで、ペットに将来起こりうる疾患や、健康状態、治療からの回復状況などを「見える化」する商品が期待される。
今後さらなる技術進展により、参入企業各社の商品で実現可能な範囲が拡がり、実用性が高まるものとみる。飼育者においてもこうした商品への関心が高まり、徐々に受け入れられるとみられることから、国内のペットテック市場は拡大基調を予測する。