地方創生およびゴルフ場経営改善に向けた5G実証試験に成功

2019年11月14日
NTTコミュニケーションズ株式会社
株式会社NTTドコモ
株式会社ミライト
富士通株式会社
株式会社長野京急カントリークラブ

地方創生およびゴルフ場経営改善に向けた5G実証試験に成功
~総務省による「令和元年度 5G総合実証」を実施~

NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)と、株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)、株式会社ミライト(以下、ミライト)、富士通株式会社(以下、富士通)、株式会社長野京急カントリークラブ(以下、長野京急CC)は、ゴルフ場経営改善の実現に向け、長野京急CCで、第5世代移動通信方式(以下、5G)の実証試験(以下、本試験)を、2019年11月11日(月)から11月15日(金)まで共同で実施しています。2019年11月 13日(水)には、端末の移動時における複数基地局、複数端末を接続した環境下で、平均1Gbpsを超える5Gを用いた映像伝送に成功しました。

昨今、日本の社会構造の変化などにより地方創生に向けた動きが進む中、次世代のICT基盤インフラとして期待される5Gの研究開発を進めることで、地方における5Gインフラや関連サービスの普及が期待されています。

本試験では、長野京急CCの1番ホールに28GHz帯の5G通信エリアを構築し、ゴルフプレイヤーのショット映像で弾道分析をすることで落下地点を予測し、その結果をプレーヤーのタブレットおよび次世代ディスプレイカート※に表示させる「落下地点予測」と、ティーショットの映像を4K360度カメラで撮影し、高精細な映像を5G端末などにライブ配信する「ライブ映像伝送」の試験を行いました。
これにより、複数基地局設置、複数端末を接続した環境で5G端末を搭載した次世代ディスプレイカートを移動させる中で平均1Gbpsを超える通信に成功したほか、ボールの落下地点を利用者にスムーズに示し、他のコンペメンバーともリアルタイムにお互いのプレー状況が確認できるなど、新たな体験を提供しました。

本試験を通して、ゴルフ場でのプレーと最先端のICTである5Gを融合させることにより、ゴルフ場の経営改善課題であるプレー回転率およびユーザビリティの向上を解決し、利用者の満足度向上や利用機会の創出をめざします。さらに、今までに無いエンターテインメント体験を得られることで、県内外からの利用者の増加など、地方創生に貢献していきます。

なお、本試験はNTT Comが実施主体となり、総務省から請負った令和元年度5G総合実証試験「移動時において複数基地局、複数端末の環境下で平均1Gbpsを超える高速通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討」として実施しています。

今回の試験結果は、2019年11月27日(水)から11月29日(金)までパシフィコ横浜で開催される「Micro wave Workshops & Exhibition 2019」において展示します。

NTT Com、ドコモ、ミライト、富士通、長野京急CCは、本実証試験の成果をふまえ、2020年に向け5Gのネットワーク構築や5Gを活用したサービス、ソリューション創出など、先端技術の発展に尽力していきます。

※ 次世代ディスプレイカートとは、5Gの低遅延、大容量、高速の特長を活かし、カート付近にいる通行人に向けて高画質な映像を、カートに搭載された高精細な4Kディスプレイに表示することが可能な車両です。

別紙
実証試験の概要

1.試験内容
NTT Com、ドコモ、ミライト、富士通、長野京急CCは、各社の技術を持ち寄り、長野県長野市の長野京急CCの1番ホールに28GHz帯の5G通信エリアを構築し、「落下地点予測」と「ライブ映像伝送」を実施しました。この中で、ティー後方にカメラを設置し、撮影したスイング映像およびライブ映像を5G通信を経由して、移動中のプレーヤーのタブレットおよび次世代ディスプレイカートに表示を行い、その通信速度が平均1Gbpsを超えることを目標としました。

5G試験環境を用いて、長野京急CCにおいて以下の試験を行い、28GHz帯の5G装置で試験を行いました。

<実証試験のイメージ>

(1) 落下地点予測
ティー後方にカメラを設置し、撮影したショット映像を富士通および株式会社GPROが提供する弾道分析システム(注1)により分析し、ボールの落下地点予測を実施しました。その予測結果を、5Gを介して次世代ディスプレイカートおよびプレーヤーのタブレットに表示させることに成功しました。これにより、プレーヤーのボール探しの時間短縮が見込まれ、プレーの回転率を向上することでゴルフ場の経営改善に貢献できる可能性があると考えます。

(2) ライブ映像伝送
プレーヤーのティーショットを、2か所設置した4K360度カメラの超高精細映像で撮影しました。撮影した4Kライブ映像は富士通が提供する4K映像伝送システム(注2)を使用して5Gを介して次世代ディスプレイカートおよびプレーヤーのタブレットへ伝送しました。この4K映像伝送には上り方向の安定した伝送容量が必要となりますが、5Gの超高速通信により安定した映像伝送を実現しました。次世代ディスプレイカートでは複数のディスプレイを設置し、5G通信エリアにおいて途切れることなく受信した4Kライブ映像を表示することができました。これにより、プレーヤーが自分のショットもしくは前後の組の映像を楽しむ体験を実現できます。

<4K360度カメラで撮影した映像のパノラマビュー画面>

2.実施時期
2019年11月11日(月)~11月15日(金)

3.各社の役割
NTT Com 本実証試験のシステム性能評価およびプロジェクト管理
ドコモ 5G技術の提供および分析
ミライト 本実証試験のシステム環境構築および分析
富士通 落下地点予測、4K360度映像伝送サービスの提供
長野京急CC 実証試験場所の提供および実証サービスの利用評価

(注1) 弾道分析システム:高速カメラセンサーによりゴルフボールを追尾し、ショットデータおよびボールの弾道を分析するシステム。
(注2) 4K映像伝送システム:4K360度カメラの映像を富士通のリアルタイム映像伝送装置 IPシリーズ「IP-HE950E」を介して、プレーヤーのタブレットに高画質、低遅延で伝送するシステム。