グラフェン超伝導材料の原子配列解明に成功

2019.11.14
早稲田大学

グラフェン超伝導材料の原子配列解明に成功
薄くて柔らかい、原子スケールの2次元超伝導材料の開発に新たな道

■発表のポイント
・TRHEPD法を用い、超伝導を示すグラフェンとカルシウムの2次元化合物の原子配列を
解明
・2次元化合物において電気抵抗がゼロになる超伝導現象を示すことを観測
・グラフェンを利用した新たな化合物の原子配列解明により、デバイス材料開発への
応用を期待

■概要
東京大学大学院理学系研究科博士後期課程3年の遠藤由大(えんどうゆきひろ)および長谷川修司(はせがわしゅうじ)教授、早稲田大学理工学術院の高山あかり(たかやまあかり)専任講師、日本原子力研究開発機構先端基礎研究センターの深谷有喜(ふかやゆうき)研究主幹、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所の望月出海(もちづきいづみ)助教および兵頭俊夫(ひょうどうとしお)ダイヤモンドフェローの研究グループは、これまで未解決だった超伝導を示す炭素原子層物質グラフェンとカルシウムの2次元化合物の原子配列を、全反射高速陽電子回折法(TRHEPD法、トレプト法)という実験手法を用いて世界で初めて決定しました。また、この原子配列が電気抵抗がゼロになる超伝導現象を示すことも実験により明らかにしました。グラフェンを利用した新たな化合物の原子配列を解明したことで、エネルギー損失ゼロの超高速情報処理ナノデバイスなどの材料開発への応用に道を開くものです。
本研究成果は、『Carbon』のオンライン版に2019年10月25日(現地時間)に掲載されました。

■論文情報
雑誌名:Carbon
論文名:Structure of superconducting Ca-intercalated bilayer Graphene/SiC studied using total-reflection high-energy positron diffraction
執筆者名(所属機関名):Y. Endo(東京大学大学院理学系研究科), Y. Fukaya(日本原子力研究開発機構先端基礎研究センター), I. Mochizuki(高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所), A. Takayama(早稲田大学理工学術院), T. Hyodo(高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所), S. Hasegawa(東京大学大学院理学系研究科)
掲載URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0008622319310887?via%3Dihub
DOI:https://doi.org/10.1016/j.carbon.2019.10.070