【プレミア12】侍J金子コーチ、大会中「一度もいい夢見ていない…」 特効薬は打棒爆発?

侍ジャパン・稲葉篤紀監督(左)を支える金子誠ヘッド兼打撃コーチ【写真:Getty Images】

周東の「足」が話題も「得点の取り合いの中で起用できるように」

「第2回 WBSC プレミア12」(テレビ朝日系列で放送)スーパーラウンドを戦う野球日本代表「侍ジャパン」は14日を休養日としたが、16日の韓国戦に先発するとみられる岸孝之投手(楽天)のみ東京ドームで練習を行った。球場を訪れた金子誠ヘッドコーチ兼打撃コーチは、残り2試合の選手起用と試合展開に言及した。

 今大会は東京五輪の前哨戦として世界一を目標に選手が集められたが、カナダとの強化試合で死球による右足薬指骨折で辞退となった秋山翔吾外野手(西武)や、12日のアメリカ戦で守備の際に首の違和感で交代となった菊池涼介内野手(広島)などアクシデントが多かった。しかしこういった事態を予想し、各選手は宮崎で行った代表合宿時からシーズン中とは違うポジションにも取り組んできた。

 12日のアメリカ戦でも菊池が負傷交代したことで9回には周東が三塁を守ったが、金子コーチは「宮崎から色んなことがあっても準備するというのは選手が自らやってくれていたことだったので、すごくありがたくて。でも周東がサード守るのだけは想像してなかった」と話す。

 足のスペシャリストとして招集された周東は内野手登録ではあるが、シーズン中は外野をメーンで守っており、三塁は今季3度しか守っていなかった。「セカンドかどっちがいいのかというのは本人に聞きました。それで出てきた投手が中川だったから、ゴロがサードにしかいかないんだ」と笑う。周東はしっかりゴロをさばいて9回を締める頼もしい姿をみせていた。

 今大会では周東の足に大きな注目が集まっており、登場するだけで会場は大歓声に包まれる。しかし「終盤に周東という名前が出ない試合にしなきゃなとは思う」と金子コーチ。「(点の)取り合いになった最後の一手が周東だったらいい野球。しのいでしのいでの(展開で)最後が周東だったらこれは全く強いとは言えない」と、あくまでジョーカーとして周東を起用できる得点の取り方、試合展開を期待している。

スーパーラウンド3試合で3得点ずつ、今大会の本塁打は鈴木の3本のみ

 ここまで打線は4番に座る鈴木誠也外野手(広島)がランナーを返すことが大半で、好機を逃すことも多かった。スーパーラウンド3試合はいずれも3得点ずつ。今大会の本塁打は鈴木の3本のみだ。

 金子コーチはこんな悲しいエピソードもこぼす。「言われたんですよ、球場の外国人の方に。『みんな練習ではホームラン打つけど、試合では鈴木しか打たない』って。通訳さんに訳される前に自分で理解しました。点の取り方はいっぱいありますから……」。

 次戦16日の韓国戦は、先発が韓国エース左腕のヤン・ヒョンジョン(起亜)と見られているが、「左バッターは4人しかいないので、左投手には右左あまりこだわる必要はないのかな」と打線が大きく変わる可能性は低い。「早く点を取って岸らしさが出せるような展開にできれば」と韓国戦先発とみられている岸を援護したい考えだ。

「いつも夢みたりするんですけど、いいイメージの夢とか。けど大会入ってから一度もいい夢を見てないので。なかなか厳しい戦いになるんじゃないのか」と“夢占い”で場を沸かせた金子コーチ。残り2試合で、夢のような打線の爆発が見られるだろうか。(臼井杏奈 / Anna Usui)

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