NASCAR第35戦:トヨタは3台が王座獲得権を確保。マニュファクチャラーズタイトルはトヨタに輝く

 2019年のモンスターエナジーNASCARカップは11月10日、第35戦フェニックスが行われ、デニー・ハムリン(トヨタ・カムリ)がシーズン6勝目を飾ると同時に、チャンピオン決定戦“プレーオフ”最終ラウンドへの切符を手にした。残る1枠もカイル・ブッシュ(トヨタ・カムリ)が確保し、3台のトヨタ勢がチャンピオン獲得の権利を残して最終戦へ臨む。

 年間36戦で争われているNASCARカップシリーズは、シリーズ終盤10戦がチャンピオン決定戦“プレーオフ”として開催されている。

 このプレーオフでは最終戦の第36戦までにチャンピオン候補が16名から4名まで絞られ、この4名のうち、最終戦でもっとも最上位でフィニッシュしたドライバーがシリーズチャンピオンの栄光を手にする。

 最終戦でチャンピオンを争う4枠のうち、2枠は第33~34戦で優勝したマーティン・トゥルーエクスJr.(トヨタ・カムリ)とケビン・ハービック(フォード・マスタング)が確保している。

 そのため、この第35戦では残る2枠をカイル・ブッシュ、ハムリン、ジョーイ・ロガーノ(フォード・マスタング)、チェイス・エリオット(シボレー・カマロZL1)、カイル・ラーソン(シボレー・カマロZL1)、ライアン・ブレイニー(フォード・マスタング)の6名が争う構図となった。

 戦いの舞台となったアリゾナ州エイボンデールのISMレースウェイ(フェニックス・インターナショナル・レースウェイ)は1周1マイル(約1.6km)。決勝レースは75周、75周、162周の3ステージ合計312周で争われた。

 ステージ1は、チェッカー目前の66周目にクラッシュがありイエローコーション。残り3周でリスタートが切られると、ここで先行するブラッド・ケゼロウスキー(フォード・マスタング)などを交わしたハムリンがトップでチェッカーを受けた。

 続くステージ2はロガーノがトップチェッカー。その後方ではハムリンとエリオットが抜きつ抜かれつの2位争いを演じた末、ハムリンが2位、3位にエリオットと続いている。

 迎えた最終ステージ3も序盤はロガーノが首位を走行。その後方ではエリオットとハムリンが2位を争う構図となる。しかし165周目、エリオットの左リヤタイヤがパンクして単独クラッシュ。エリオットはチャンピオン獲得への道が絶たれてしまった。

 これで2番手に浮上したハムリンは、イエローコーション明けのリスタートで首位ロガーノを交わしてトップに浮上すると、その後は独走すると、一時は10秒近いリードを築いてみせる。

 しかし、レース終盤の303周目、ターン1でクラッシュがあり今大会最後のイエローコーションに。これでレースは一度リセットされ、ハムリンが気づいたギャップも消えてしまう。

 そのハムリンは、イエローコーション中に行われた最後のピット作業でタイヤ二輪交換を選択。トップを守ったままコースへ戻った。ライバルの多くは四輪交換を選択して終盤の追い上げを狙った。

2019年のNASCAR第35戦でトップチェッカーを受けたデニー・ハムリン(トヨタ・カムリ)

 そして迎えたチェッカーまで2周で迎えたリスタート、ハムリンはここでもポジションを守ると、そのままチェッカー。2019年シーズン6勝目を挙げた。

土壇場でチャンピオン獲得権を手にしたカイル・ブッシュ(トヨタ・カムリ)

 これでハムリンは最終戦でのチャンピオン獲得権を確保、最後の1席は今大会で2位に入り、ポイント差でライバルを上回ったカイル・ブッシュ(トヨタ・カムリ)が獲得した。

 この結果、11月17日開催のシーズン最終戦、第36戦ホームステッドでは、トゥルーエクスJr.、ハムリン、カイル・ブッシュのトヨタ3台と、唯一のフォードユーザーであるハービックがチャンピオンの座を争う。

 なお、マニュファクチャラーズタイトル争いでは、最終戦を待たずしてトヨタのチャンピオンが確定させた。またトヨタユーザーの強豪、ジョー・ギブス・レーシングは最終戦を残している段階で、シリーズ最多タイの年間18勝を挙げている。

 この週末は下位シリーズのNASCARエクスフィニティシリーズ第32戦も行われ、ジャスティン・アルゲイヤー(シボレー・カマロ)が優勝。トヨタ勢はブランドン・ジョーンズ(トヨタ・スープラ)の11位がベストリザルトとなった。

 なお、このエクスフィニティでもクリストファー・ベル(トヨタ・スープラ)がチャンピオン獲得の権利を持って、最終戦ホームステッドへと臨む。

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