豚コレラ拡大、県が緊急対策 野性イノシシ検査強化 神奈川

県県央家畜保健衛生所(海老名市)で、捕獲した野生イノシシの血液を検査する職員(県提供)

 豚コレラ(CSF)の感染が隣接県まで拡大していることを受け、神奈川県は14日、緊急の防疫対策を実施すると発表した。ウイルスを媒介する野生イノシシの検査体制強化や侵入防護柵の設置促進、食肉処理場の防疫強化などを図る。事業総額は約1億円で、年内の着手を目指す。

 10月に静岡、山梨両県で豚コレラに感染した野生イノシシが見つかったが、国は飼育豚へのワクチン接種を感染確認地域に限定している。県は「感染リスクのステージは確実に上がった」として、独自の緊急対策が必要と判断した。

 感染源とされる野生イノシシ対策として、静岡や山梨との県境付近を優先エリアに位置付け、わなによる捕獲を強化する。捕獲したイノシシにはウイルスの有無を確認する血液検査を実施し、早期発見につなげる。本年度内に最大600頭を検査する。また養豚農場の周囲を覆う防護柵(高さ約1.5メートル)を新たに6カ所設置し、計15カ所に拡大。整備費の2分の1を県が負担し設置を促す。

 食肉処理場の防疫強化策は、豚の約8割が県外から搬入される神奈川食肉センター(厚木市)の出入り口と敷地内に、搬入車両のタイヤや荷台などを消毒する噴霧器を導入。県内に入る飼料運搬車が頻繁に通行する道路近くにも消毒ポイントを2~3カ所設ける。

 県畜産課によると、県内には50の農場があり、6万8700頭を飼育。同課は「県内で発生した場合、経営再建が難しい農家が必ず出てくる。打てる手を打ち、全ての農家を守りたい」としている。

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