<金口木舌>南米の裏座ぐゎー

©株式会社琉球新報社

 南米ボリビアで大統領選挙を巡る混乱が続いている。一度は当選を発表した現職のエボ・モラレス氏に不正選挙の疑いがあるとして抗議デモが相次ぎ、モラレス氏は大統領を辞任した。大統領職を継承できる副大統領なども辞任し、権力の空白状態になっている

▼県系人が多く住むオキナワ移住地でも近くの道路が封鎖されるなど、影響が出ている。県系人の不安の声を、本紙の安里玉元三奈美通信員が伝えている

▼戦前、戦後に渡った移民1世は苦難の中で原生林を切り開いた。風土病に倒れた人も多い。コロニア・オキナワは「小麦の首都」と呼ばれるまでに発展した。ただ、現地で県系人が少数派であることに変わりはない

▼1960年代に琉球政府から派遣された医師の吉田朝啓さんは、ボリビアの移住地を「南米の裏座ぐゎー」と表現する。「一軒家にある仏壇裏の母ちゃんの部屋(裏座)のように、近隣国の移住地の中でも特に沖縄を感じられる」と語る

▼今回の混乱は好調な経済を背景に人気の高かったモラレス氏への多選批判がきっかけだが、同氏を支持するキューバなどは辞任劇を「クーデター」と批判する声明を発表した

▼民意を正確に選挙に反映することは大切だ。他方、混乱の中で移住者ら少数派に不利益があってはならない。遠く離れたルーツの地から多くのウチナーンチュが注視している。