育成枠が約7割… 過去10年で独立リーグからドラフト指名された選手は?

独立リーグ出身選手として最上位となる2位指名でプロ入りした中日・又吉克樹【写真:荒川祐史】

独立Lからの指名は過去10年で81人、最多は香川の17人

 NPBでは2010年から2019年までのドラフトで1027人が指名されている(うち育成で246人、重複指名2人を含む)。これらの指名選手を元の所属チーム(学校、社会人、独立リーグ)別に見ていこう。

 この10年間に独立リーグから指名された選手は81人(重複指名1名含む)。このうち57人が育成ドラフト指名。独立リーグから支配下ドラフトで指名されたのは24人にすぎない。独立リーグ関係者は「育成枠で指名されてもチャンスが少ないから、支配下ドラフトでの指名を目指す」というが現実は厳しい。

 指名選手数10傑。チームの代表的な選手として上位指名、または現在活躍している3人をピックアップする。

1 香川オリーブガイナーズ(四国ILplus) 17人
又吉克樹(中日)、亀澤恭平(ソフトバンク)、篠原慎平(巨人)

2 徳島インディゴソックス(四国ILplus) 15人
伊藤翔(西武)、木下雄介(中日)、入野貴大(楽天)

3 新潟アルビレックスBC(ルートインBCリーグ) 7人
知野直人(DeNA)、高井俊(巨人)、渡邉雄大(ソフトバンク)

3 石川ミリオンスターズ(ルートインBCリーグ) 7人
寺田光輝(DeNA)、寺岡寛治(楽天)、沼田拓巳(ヤクルト)

5 埼玉武蔵ヒートベアーズ(ルートインBCリーグ) 7人
松岡洸希(西武)、小林大誠(巨人)、三ツ間卓也(中日)

6 富山GRNサンダーバーズ(ルートインBCリーグ) 6人
湯浅京己(阪神)、加藤貴大(楽天)、和田康士朗(ロッテ)

7 福井ミラクルエレファンツ(ルートインBCリーグ) 4人
片山雄哉(阪神)、西川拓喜(オリックス)、松本友(ヤクルト)

8 愛媛マンダリンパイレーツ(四国ILplus) 3人
鶴岡賢二郎(横浜)岸敬祐(巨人)土田瑞起(巨人)

8 群馬ダイヤモンドペガサス(ルートインBCリーグ) 3人
清水貴之(ソフトバンク)、八木健史(ソフトバンク)、廣神聖哉(阪神)

8 信濃グランセローズ(ルートインBCリーグ) 3人
柴田健斗(オリックス)、原大輝(オリックス)、笠井崇正(DeNA)

8 兵庫ブルーサンダーズ(旧関西独立リーグ) 3人
田中耀飛(楽天)、向谷拓巳(楽天)、山川和大(巨人)

指名最上位は中日又吉の2位、今年は埼玉武蔵の松岡が西武から3位指名

 独立リーグは、最も古い四国ILplus(以下四国)が4球団、ルートインBCリーグ(以下BC)が現在11球団、旧関西独立リーグは3-4球団。現在の関西独立リーグが4球団。球団数が少ないこともあり、1球団当たりの選手数は多い。

 1位は四国の香川。独立リーグとしては指名最高位のドラフト2位で中日に入り救援投手として活躍している又吉克樹や、現在は中日でプレーする亀澤恭平ら1軍で活躍する選手を輩出し、質量ともにトップだ。なお松澤裕介は2015年に巨人から育成指名されて入団拒否し、翌年再度巨人から育成指名されて入団している。

 2位も四国の徳島。ここ3年で6人の選手が入団。徳島は「勝てる選手の獲得」を方針に掲げ、ここ3年で2度四国の覇者になっているが、強化策がドラフト指名にもつながっている。2017年の伊藤翔はドラフト3位で西武に入団している。四国の他の2球団、愛媛マンダリンパイレーツは3人、高知ファイティングドックスは2人。四国では香川、徳島と愛媛、高知では大きな格差がある。

 BCでは2007年の設立時から参加している老舗球団の新潟、石川、富山が上位につけている。7人の新潟は2018年に知野直人が初めて支配下6位で指名された。同じく7人の石川では、楽天の寺岡寛治が今季1軍で初登板した。6人の富山では2018年に湯浅京己が阪神から初めて支配下指名された。

 BCから支配下最上位で指名されたのは、2019年に埼玉武蔵ヒートベアーズから西武にドラフト3位で指名された松岡洸希。

 旧関西独立リーグからは兵庫3人、明石、神戸から各1人が指名された。現在の新関西独立リーグからの指名はない。

 独立リーグは「NPBへの人材輩出」を目標の一つに掲げていることが多い。10年で81人の指名は一定の役割を果たしていると言えるが、戦力になった選手は少ない。厳しい現状だと言えよう。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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