Netflix『ザ・クラウン』シーズン3の新キャストが意気込みを語る!

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英国女王エリザベス2世の人生を描くNetflixの人気ドラマ『ザ・クラウン』。前シーズンより大きくタイムジャンプした本シリーズはシーズン3からキャストが一新。今回米Entertainment Weekly(以下EW)が、その新キャストにインタビューを行ったので紹介したい。

1972年に催されたエドワード8世の葬儀を再現するために、イギリスのベルボアールの古城に王室のそうそうたる顔ぶれが集められた。もちろん実際の王室ではなく、シーズン3で王室のメンバーを演じるキャストのことだ。そのキャストには、エリザベスの夫であるエディンバラ公フィリップ殿下役のトビアス・メンジーズ(『アウトランダー』)、フィリップの叔父ルイス・マウントバッテン役のチャールズ・ダンス(『ゲーム・オブ・スローンズ』)、エリザベス女王の妹マーガレット役のヘレナ・ボナム・カーター(『ハリー・ポッター』シリーズ)が名を連ねている。

昨年12月に撮影の休憩中にヘレナ・ボナム・カーターが、『ザ・クラウン』で演じることになったマーガレット王女と出会った当時のことを振り返っている。「実は私の叔父がマーガレットと親しかったのだけど、彼女には尻込みしてしまったわ。ある時マーガレットとウィンザー城で会って、"あなた、上手になってるわよね?"と聞かれたの。彼女は私の演技について言及してたみたいで」と語っていた。

シーズン3でオリヴィア・コールマンがエリザベス女王を演じるが、EWが撮影セットを訪れた時点で、彼女は『ブロードチャーチ ~殺意の町~』や『Fleabag フリーバッグ』、『ピープ・ショー ボクたち妄想族』などで演じたキャラクターで、すでに国宝的な存在だった。しかし、その2カ月後に映画『女王陛下のお気に入り』でステュアート王朝時代の英国君主であるアン女王を演じてアカデミー賞主演女優賞に輝き、演技における女王の地位を確固たるものにした。オスカー受賞で引っ張りだこの存在になったにもかかわらず、オリヴィアは連続して撮影される『ザ・クラウン』シーズン3&4のエリザベス女王役をオファーされても、しぶることはなかったという。

オリヴィアは、「出演に興奮せずにはいられなかったわ。プロデューサーに"それで..."と言われて、私は"答えはイエスよ! イエス! すごくワクワクしてるわ! ありがとうございます! 最初の2シーズンが大好きでした!"って言ったの」と明かしている。

1947年から55年までを網羅した『ザ・クラウン』シーズン1は2016年11月に配信スタートし、歴史上の事実と最高級のメロドラマを織り交ぜたシリーズは、ほとんどの人が教科書でしか知らなかったような出来事に息を吹き込んだ。Netflixは視聴者数を発表していないが、エリザベス(クレア・フォイ)とフィリップ(マット・スミス)の間で起きた夫婦の問題と、マーガレット(ヴァネッサ・カービー)が経験する恋愛の試練を描いたシーズン1と2にファンが夢中になり、かなりの視聴者数を集めたようだ。両シーズンともにエミー賞ドラマ部門にノミネートされ、クレアは2度ノミネートし、2018年度では主演女優賞に輝いている。

しかしクレアやマットをはじめ、新シーズンではほとんどのキャストが一新される。これはNetflixが大きな賭けに出たことを表している。最初の2シーズンのファンは、新たにキャスティングされたキャストが同じ役を演じることについて、どう感じているのだろうか? そして、クレアがエミー賞を受賞したばかりの役を演じるにあたり、オリヴィアはどのように感じているのだろうか?

その質問についてオリヴィアは、「酷かったわ。みんなクレア・フォイが大好きだから、その時は最悪の仕事を引き受けたようなものだった。思い出させてくれてありがとう!」とコメント。少なくともオリヴィアは厄介な記者をロンドン塔に投獄できる権利は持っていないだろう。

『ザ・クラウン』の真の支配者は、アカデミー賞脚本賞に2度ノミネートされたショーランナーのピーター・モーガンだ。エリザベスが10歳の時にエドワードが退位し、王位を継承して女王になるなどと想像していなかったように、モーガンは時代を追って王族を描く作品で成功するとは夢にも見ていなかったという。子ども時代のモーガンは王室に興味すらなかったとのことで、「いやいや、これは恐るべき間違いで、一体どうやってここまでやってきたのかわからないんだ」と述べている。

では、モーガンのウィンザー城への道のりを説明しよう。2003年にマイケル・シーン(『グッド・オーメンズ』)が主演し、英首相トニー・ブレアによる権力の台頭を描いたTV映画『The Deal(原題)』から始まった。ブレアに魅了されたモーガンは、2006年に映画『クィーン』で脚本を務め、ダイアナ元皇太子妃の死に対するエリザベス女王の控えめな反応と、喪に服する女王をショーに仕立てようとする首相が描かれた。マイケルがブレアを演じてヘレン・ミレン(『ワイルド・スピード』シリーズ)がエリザベス女王役で主演し、興行的にも成功を収めてヘレンはアカデミー賞主演女優賞を受賞。こうしてモーガンは、王室をテーマにした他のプロジェクトを製作する要求へと掻き立てられたのだった。

モーガンは、「女王とブレアの関係を描くシーンを執筆するのがすごく楽しくて、"そうだな。舞台の「ザ・オーディエンス」をやるし、女王の任期中に13人の首相(現在は、ボリス・ジョンソンが就任したため14人に)がいたしな"って思ったんだ」と明かしている。その後、「ザ・オーディエンス」はブロードウェイに移り、舞台でもエリザベス女王を演じたヘレンがトニー賞主演女優賞に輝いた。「ザ・オーディエンス」はモーガンを感化させ、最初は女王とウィンストン・チャーチルの関係を描こうとしていた『ザ・クラウン』にインスピレーションを与えることになったという。

その点についてモーガンは、「若き女王と中年時代のエリザベス、そして老齢期の彼女を描くのはすごく興味深いと思ったんだ。最初にNetflixでアイデアを伝えた時は3シーズンとして売り込んだんだが、どんどん大きくなってしまった」とコメント。クレアが若き女王として主演する3シーズン分を容易に執筆できる十分な素材が揃っていたそうだが、今では2シーズンでキャストを変更することにして良かったと思っているとのこと。「クレアとマットの出演が終わる頃には、二人は他の場所へ行く準備ができているんじゃないのかな」とも付け加えた。

もちろん、スキャンダルがなければ王室の物語にはならないだろう。昨年3月に米Varietyが、『ザ・クラウン』の製作総指揮二人がイスラエルのエルサレムで開催された会議で、クレアよりもマットの方が出演料が多かったと明かしたことを報道。このニュースを受け、製作総指揮の一人であるスザンヌ・マッキーは、「今後、女王よりも高い出演料を貰う人はいない」と主張し、大きな話題となっていた。その当時クレアはEWに、「私はそのニュースの中心にいたから驚いたし、そういった話で板挟みになるのは奇妙だったわ。でも、女性が主役のドラマという意味では興味を引くでしょうね。シリーズを見た人が、"それって少し変よね"と言っても驚かないわ」とコメントしている。

モーガンは中年期を演じるオリヴィアがシリーズの将来には不可欠だと考えていたという。「オリヴィア・コールマンは候補者リストのナンバーワンでした。私はシーズン3と4の出演交渉が終わる前でも、彼女が女王を演じてくれるのかどうか知りたかったんだ」と述べている。しかしオリヴィアの配役で問題だったのは、『ザ・クラウン』でエリザベス女王を演じる前に、彼女がアン女王を演じる『女王陛下のお気に入り』が先に劇場公開されこと。その点について、「ドラマに出演する前に、オリヴィアに他の女王を演じてほしくないと思っていたことは確かだが、まったく異なる役だからね。すごくトーンが違うんだ」と明かした。

シーズン3で取り上げられる注目すべき歴史的出来事として、1964年に女王の美術顧問だったアンソニー・ブラントが旧ソ連のスパイだったことが明らかになり、さらにその年、労働党のリーダーだったハロルド・ウィルソンが首相に就任した事実が描かれる。また、石炭廃棄物の雪崩がウェールズの学校を埋め、子どもを中心に144人が犠牲となり英国史上最悪の産業事故といわれる1966年に起きたアバーファン崩落事故についても触れるとのこと。オリヴィアはこの事故について、「今まで聞いたことがなかった。すごく心が痛んだわ」とコメントしていた。

また王室内の問題については、前シーズンほどエリザベスとフィリップの結婚は取り上げられず、その代わりにマーガレットと彼女の夫で写真家のトニー・スノードン伯爵(ベン・ダニエルズ)の絆に迫るとのこと。

ベン・ダニエルズは、「彼らは本当に素晴らしい人たちなんだ。完全にお互いに中毒になっていて、二人が離婚する直前まで強い肉体関係があったからね。しばしば人々は、それは彼らにとって大喧嘩、前戯みたいなものだと言っていた。彼らは大喧嘩をして素晴らしいセックスをしたんじゃないかな」とコメント。その発言を聞いたヘレナ・ボナム・カーターが抵抗できずに、EWの読者に向かって「家で試してみて!」と勧めた。

そしてシーズン3では、女王の子どもである大人になったチャールズ皇太子(ジョシュ・オコナー)とアン(エリン・ドハティ)が紹介される。それほど名前が知られていないジョシュは、イギリスで最も有名な俳優の何人かと一緒に演技をしながら、冷静でいることがかなりのチャレンジだったと認め、「僕は演技して演技して演技し続けて、"オリヴィア・コールマンと一緒に演技をしてる!"って思ったよ。すごく奇妙な感じだった」と語っている。さらに、チャールズ皇太子がダイアナ妃と結婚する前、1970年代に始まった後妻となるカミラ(エメラルド・フェネル)との関係も描かれる。

モーガンは、「人々は、チャールズがダイアナとの結婚中にカミラと浮気をしたと考えていますが、それは事実とは逆だ。彼はカミラを深く愛していたのに、ダイアナとの結婚を強要されたんだからね」と述べていた。

シリーズでは『グランチェスター 牧師探偵シドニー・チェンバース』のエマ・コリンがダイアナを演じるが、シーズン4まで登場しない。モーガンは2020年にシーズン4が配信されるまでに、視聴者が新キャストを受け入れたかどうかを知る。だが、彼は視聴率についてはそれほど心配していないようで、「コンタクトレンズを入れ替えるようなものだ。慣れるまでに5分ほどかかると思うがね」と言っている。

視聴者の心をつかみ続けると仮定すると、モーガンはシーズン5&6でまた新しいキャストを見つけなければならないが、考え始めてもいないとのこと。女王役の候補として間違いないのはエミー賞とグラミー賞、アカデミー賞とトニー賞のほとんどを受賞したヘレン・ミレンだが、この件についてモーガンはヘレンとは話し合ってないというが、彼女はシリーズのファンだそうだ。「ヘレンは『ザ・クラウン』が大好きで文句のつけようがないと思っている。すごくシリーズに驚いていたよ」と明かしていた。

キャストが集結したベルボアール城に話を戻すと、現在エリザベス女王2世を演じるオリヴィアは、冗談はさておきクレアの後を引き継ぐことについて驚くほど落ち着いているよう。「どんな古典劇に出演しても同じで、すでに誰かがその役を演じているわ。最初の週で、クレアのまねをしようとしていると自分を感じてたの。"一体彼女は何をしてくれたの?"って思ったわ」

物語は続きであるため、オリヴィアがクレアをまねるのは理にかなっていると言えるだろう。オリヴィアは、「確かにそうよね。もしかしたら、まねをしたのは天才的な考えかもしれないわ。そうだったのよ! それは事前に計画したことだったの!」と、アカデミー賞授賞式で披露した笑い声を交えながら語った。

そして、シーズン3からフィリップ役で出演するトビアス・メンジーズは、「フィリップの注目すべき長所と短所について教えてください」と聞かれ、次のように答えている。

「大まかに言えば、フィリップとエリザベスの関係の浮き沈みについてはそれほど描かれないかな。結婚はより落ち着いているし、彼らにとっての挑戦は二人の外側からやって来てるからね。シーズン3でフィリップの母親はジェーン・ラポテア(『レディ・ジェーン/愛と運命のふたり』)という偉大な女優が演じてるんだけど、彼女が家族と一緒に暮らしていることでフィリップに様々な問題を引き起こすことになる。埋められた感情とでもいうのかな。

フィリップが10代だった頃、彼の母親はあらゆる精神疾患の問題や宗教的な妄想を抱えていて大変だったから、彼は親戚に育てられたんだ。だから、それがフィリップとマスコミとの関係悪化の始まりになって、その点がシーズン3で常に問題になる。彼は過ちを犯したけど家族との関係を前向きに修復し、よりマスコミに向けてオープンになったことで火傷を負うことになってしまうんだ」

続けて、"シーズン3では、フィリップと息子チャールズ(ジョン・オコナー)の関係はどうなりますか?"との質問にも答えている。

「実のところ、ある意味で共演シーンはあまりないんだ。ほとんど彼とは一緒に過ごしていない。それが、ピーター(・モーガン)が描こうとしていた彼が思うところの二人の関係なんじゃないかな。自分としては常にフィリップに対して好意を持とうとしているから、少し彼の描かれ方に同意しかねるところもあるかもしれない。彼は一筋縄ではいかない父親だと思うけど、育児放棄をしたわけでも子どもに無関心な父親だとは思わないからだ。フィリップとチャールズはかなり違ったタイプの人間で、息子に対する父親の関心のなさは少し酷いけど、彼が子育てに関らなかったとは思わない。」

「視聴者は、アン(エリン・ドハティ)と一緒に過ごすチャールズをもっと目にすることになる。それはアンとフィリップがずっと似ているという証しのように思えるし、彼はアンとは簡単に打ち解けるんだ。よりチャールズが人間としてセンシティブだという事実から見れば、アンは親子のように彼と性格が似てるんだよ」と述べた。

『ザ・クラウン』シーズン4まで更新されている。主要キャストが大幅に変更されるシーズン3は、Netflixにて11月17日(日)より配信スタート。

(翻訳/Nami)

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