パの「月別最優秀防御率投手」は? オリ山本由伸が唯一人複数回獲得

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オリックス・山本由伸【写真:荒川祐史】

オリ山本は5、6月と2度受賞、8月はロッテ種市、9月は西武ニール

 今季のパ・リーグでは、先発として抜群の安定感を示した山本由伸投手(オリックス)がシーズン最終登板で規定投球回に到達し、自身初の最優秀防御率の栄冠に輝いた。規定投球回到達者がわずかに6人と、先発投手にとっては苦難のシーズンともなったが、シーズントータルではなく、1か月ごとに区切った場合、各月ごとに最も優れた防御率を記録した投手は、どのような顔ぶれになっているのだろうか。

 今回は4月から9月までの各月において、パ・リーグで最も優れた防御率を記録した投手たちを紹介。いわば“月別最優秀防御率”とも呼べる投手たちとその成績を、「大樹生命月間MVP賞」を受賞した投手たちと共に記していきたい。

 今季のパ・リーグで、各月に規定投球回に到達した投手の中で、最も優れた防御率を記録した投手たちと、その成績は以下の通りだ。

4月:有原航平投手(日本ハム)
月間成績:4試合 3勝0敗 28回 27奪三振 防御率0.64
シーズン成績:24試合 15勝8敗 164回1/3 161奪三振 防御率2.46

5月:山本由伸投手(オリックス)
月間成績:4試合 2勝1敗 27回2/3 22奪三振 防御率1.30
シーズン成績:20試合 8勝6敗 143回 127奪三振 防御率1.95

6月:山本由伸投手(オリックス)
月間成績:4試合 1勝1敗 28回 29奪三振 防御率2.25
シーズン成績:同上

7月:美馬学投手(楽天)
月間成績:3試合 1勝0敗 22回 18奪三振 防御率1.64
シーズン成績:25試合 8勝5敗 143回2/3 112奪三振 防御率4.01

8月:種市篤暉投手(ロッテ)
月間成績:4試合 2勝1敗 28回 35奪三振 防御率1.61
シーズン成績:26試合 8勝2敗 116回2/3 135奪三振 防御率3.24

9月:ニール投手(西武)
月間成績:4試合 4勝0敗 27回1/3 14奪三振 防御率0.66
シーズン成績:17試合 12勝1敗 100回1/3 51奪三振 防御率2.87

 シーズン全体の最優秀防御率を受賞した山本は、2か月連続で月別の最優秀防御率にも輝いている。とりわけ5月の内容は目覚ましく、山本にとっては2試合以上に登板した月の中で最高となる防御率を記録。全ての月で防御率が1点台~2点台という抜群の安定感で、先発再転向1年目にしてあらためてその才能を証明してみせた。

 その山本と同じ1998年生まれの21歳、ロッテの種市も今季躍進を果たした一人。8月にはリーグトップの防御率1.61に加え、奪三振率11.25という素晴らしい数字を記録した。通年の奪三振もイニング数を上回っており、奪三振率も10.41。将来が大いに期待できるシーズンを送った。

 若手の台頭も目立つ中で、実績ある2投手も存在感を発揮した。開幕から絶好のスタートを切ることに成功した有原と、体力的に厳しい時期の夏場にさしかかる7月に快投を披露した美馬が、それぞれ月間を通じて好成績を記録。ともに2年ぶりとなる規定投球回に到達している。特に有原は初の最多勝も獲得し、キャリアハイとなる成績を残した。

 また、来日1年目から球団外国人投手のシーズン連勝記録となる11連勝を挙げる大活躍を見せた西武のニールは、9月に27回1/3で四球0と驚異的な制球力を発揮。優勝争いが佳境を迎えた時期に、先発投手のやりくりに苦しむチームを完璧な投球で支え、リーグ制覇にも大きく貢献した。

 また、最後の2か月(8月種市、9月ニール)を除いて、全ての投手がシーズン全体の規定投球回に到達した面々であることも興味深い。1カ月ごとという短い期間に区切った場合であっても、トップの座に立つには相応の地力が必要ということかもしれない。

顔触れが異なる月間MVP受賞投手、鷹千賀が5、6月に連続受賞

 続けて、今季の「大樹生命月間MVP賞」を受賞したパ・リーグの投手たちを、以下に紹介していきたい。

3、4月:有原航平投手(日本ハム)
月間成績:5試合 4勝0敗 35回 35奪三振 防御率0.51
シーズン成績:同上

5月:千賀滉大投手(ソフトバンク)
月間成績:5試合 3勝1敗 36回 43奪三振 防御率1.75
シーズン成績:26試合 13勝8敗 180回1/3 227奪三振 防御率2.79

6月:千賀滉大投手(ソフトバンク)
月間成績:4試合 3勝1敗 25回 31奪三振 防御率2.88
シーズン成績:同上

7月:山岡泰輔投手(オリックス)
月間成績:5試合 3勝1敗 32回 37奪三振 防御率3.09
シーズン成績:26試合 13勝4敗 170回 154奪三振 防御率3.71

8月:ブセニッツ投手(楽天)
月間成績:14試合 1勝0敗11ホールド 13回 9奪三振 防御率0.00
シーズン成績:54試合 4勝3敗28ホールド 51回 45奪三振 防御率1.94

9月:ニール投手(西武)
月間成績・シーズン成績:同上

 このように、月別最優秀防御率と月間MVPが一致したのは、3・4月の有原と、9月のニールの2人のみという結果になった。月間MVPの選考においては、防御率のみならず、勝ち星や登板試合数、奪三振数といった要素も重要視される。また、8月にブセニッツが受賞していることからもわかる通り、先発だけでなくリリーフも選考の対象としている。そのため、該当する月の防御率が最も優れている投手が受賞できないケースも決して少なくはない。

月間MVP受賞投手と、月別最優秀防御率投手を比較してみると…

 その点も踏まえて、ここからは月別最優秀防御率と月間MVP受賞者が異なる投手となった月をピックアップし、両者の成績を比較していきたい。

5月
月別最優秀防御率・山本:4試合 2勝1敗 27回2/3 22奪三振 防御率1.30
月間MVP・千賀:5試合 3勝1敗 36回 43奪三振 防御率1.75

6月
月別最優秀防御率・山本:4試合 1勝1敗 28回 29奪三振 防御率2.25
月間MVP・千賀:4試合 3勝1敗 25回 31奪三振 防御率2.88

7月
月別最優秀防御率・美馬:3試合 1勝0敗 22回 18奪三振 防御率1.64
月間MVP・山岡:5試合 3勝1敗 32回 37奪三振 防御率3.09

8月
月別最優秀防御率・種市:4試合 2勝1敗 28回 35奪三振 防御率1.61
月間MVP・ブセニッツ:14試合 1勝0敗11ホールド 13回 9奪三振 防御率0.00

 山本が2か月連続で最も優れた防御率を記録した5月と6月には、千賀がこちらも2か月連続となる月間MVPを受賞している。同時期の勝ち星は山本が5月に2勝、6月は1勝だったのに対して、千賀は2か月連続で3勝を記録。奪三振数でも千賀が山本を上回っており、防御率以外の点で明暗が分かれたと言えそうだ。

 自身初の2桁勝利を記録して最高勝率のタイトルも手にした山岡は、千賀と同様に今季のパ・リーグで大きな存在感を放った先発投手の一人。月間防御率では美馬に大きく差をつけられていたが、勝ち星や奪三振数といったポイントが評価され、自身初の月間MVPを受賞している。

 8月に関しては先発とリリーフの比較となったことで、一概に優劣が決めづらくなっている。ブセニッツは月間14試合の登板で、11ホールドと荒稼ぎ。防御率も0.00とまさに完璧な投球内容で、今季では唯一人リリーフ投手として月間MVPに輝いた。通年でも防御率1.94と素晴らしい安定感で、ニール同様に来日1年目から日本球界に適応したと言えるだろう。

 先発ローテーションの一角を担う投手の登板機会は基本的に1か月に3回~5回。短いスパンであっても、一過性の好調のみでリーグトップの成績をつかみ取ったケースは少なく、そのシーズン全体の調子や、投手としての能力が反映されるような結果となっているのが興味深い。

 月に1度でも大量失点してしまえば、その時点で月間MVPや月別最優秀防御率の獲得は絶望的となる。これらの勲章は、いわば月間を通して丁寧なピッチングを継続した証でもあるだろう。月間MVPとは異なる投手となっていることも多い、短いスパンでの先発としての支配力を示しているともいえる“月別最優秀防御率”を、来季以降も注視してみる価値はあるのではないだろうか。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)