Bリーグ横浜キャプテン田渡 「テラスハウス」出演の思い

田渡凌

 バスケットボールのBリーグで、一躍脚光を集めている26歳がいる。横浜ビー・コルセアーズのキャプテンを務める田渡凌だ。ストリーミングサービス「Netflix(ネットフリックス)」の人気リアリティーショー「テラスハウス」に出演し、男女6人で一つ屋根の下で暮らしながら、夢や恋愛を追い掛ける姿を視聴者に届けている。

 昨季まで3年連続で中地区最下位だったチームの司令塔を務める背番号21は、京北高校(現東洋大学京北高校)から米・ドミニカン大カリフォルニア校でプレー。2017―18シーズンより、横浜ビー・コルセアーズの一員となった。身長180センチ、80キロのポイントガードは2年目の昨シーズン、全60試合に出場し、平均9.7得点、同4.0アシストをマーク。将来を嘱望されているプレーヤーの決断に、バスケットボールファンのみならず、会員制交流サイト(SNS)などでは賛否両論がわき上がった。

 「選手として試合に集中しろ」「プロアスリートのストイックさが分かった」…

 番組が放映された10月上旬から本人やチームの知名度は格段に上がり、現在も注目を集めている。4000台だったインスタグラム(@tawatariryo)のフォロワー数は現時点で36000人まで急増。本人のみならず、クラブ、またBリーグへの認知度を高めていることに間違いはない。田渡はこの現状をどう受け止めているのか。

 「バッシングを受けるのは当然分かっていた。1番は自分にプレッシャーをかけるため。生活を全部見てもらって、禁酒したり、早く寝たり・・・このチームで活躍して、日本代表に入ることが目標なので。この出演の機会を生かさないといけないし、番組を通じてお客さんに見てもらうことで、チームの、Bリーグの人気につながったらうれしい」。

 今季はここまで全13試合に出場。選手の入れ替えなど変革を推し進めたチームにあって、たぐいまれなキャプテンシーで引っ張り、ここまで5勝8敗と中地区2位と下馬評を大きく覆している。田渡は「負けたときはこれまでの倍以上言われるけど、勝った時も倍言われる。いつも勝つことをイメージしている」と新たなアプローチで、選手として成長をしようとしている。

 16、17日のホーム・横浜国際プールにはリーグ最高勝率を誇る同地区1位の川崎ブレイブサンダースを迎える。過去16戦未勝利という川崎戦、今季初の「神奈川ダービー」に向けて、田渡は「勝つチャンスはある。可能にするのは、エキストラでハードワークすることだし、川崎よりも勝ちたい気持ちを出していくこと。気持ちで上回らないと勝てない」と〝初勝利〟を見据える。

 一方、日本代表のキャプテンとして、9月のワールドカップに導いた川崎の篠山竜青は田渡について、「すごく勇気のいる決断をしたと思う。間違いなく賛否もあるし、本人もそれを分かっている。Bリーグのイメージも世間一般に広がっているのにつながっている。本当にすごいと思う。独身であっても僕にはできない。本当に勇気が必要」と繰り返した一方で、過去16戦全勝の横浜戦へ「今までの横浜とは全然違う。タフな試合になるが、結果も内容も求めていく」と、ゲームの主役は譲るつもりは一切なかった。

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