来年1月1日付で退任することを発表したサッカーJ2、V・ファーレン長崎の髙田明社長(71)が15日、諫早市のなごみクラブハウスで会見し、「組織を離れても応援団長として見守りたい。サッカーは自分の人生の一部になった」と退任後も後方支援を続ける考えを語った。
2017年4月に就任。当初3億円超の累積赤字があったクラブを再建し、J2に降格した今季もスポンサー数を増やすなど経営を軌道に乗せた。「創業者が企業の成長期、安定期をできるわけではない。私はバトン渡しを間違えずにやっていきたい」と、このタイミングで身を引く理由を語った。後任は11月中にも発表される。
ファン、サポーターに向けて「試合を絶対見に行くので、またいろんな会話をしていきたい。今後ともよろしくお願いします」とメッセージを送った。今季のホーム最終戦となる16日の栃木戦(14時開始)の試合前には、JR諫早駅からトランスコスモススタジアム長崎までの「V・ファーレンロード」をファンと一緒に歩く予定。
■髙田社長の記者会見での主なやりとりは次の通り。
-退任理由は。
3億円以上の累積赤字から、自立できるところまで来た。7億円の収入を何とか24、25億円まで持ってきた。ただ目指しているのはいまのステージではない。スタジアム構想もある。(陸上の)日本の400メートルリレーがすごいのはバトンのうまさだと言われている。私はバトンの渡し方を間違いなくやっていきたい。成長期、安定期に適した人がいい。
-サッカークラブの経営を振り返って。
人のモチベーションを上げてくれるのがスポーツ。世の中は大変なこと、泣きたいこともあるけれど、スポーツを見ることでそれを乗り越えるエネルギーを僕自身が得ている。実際に現場に立たせてもらって確信できたのが一番の収穫だった。
-クラブの成長を感じる部分は。
J1からJ2になるとスポンサー離れ、サポーター離れが一般的だが、スポンサーは減らず、全国どこに行ってもファンが増えている。(他チームのファンが)「長崎が2番目」と言って見に来てくれる。そんな方にすごく会うようになった。
-新体制に期待することは。
課題はまだ多々ある。グッズ、スタジアムグルメにしても子どもや女性向けなどいろんな要望がある。イベントは結構やってきたが、点じゃなくて線でつながるような、長崎全体を巻き込んだワクワクするようなイベントをやれればいい。
集客は大きな課題。社長就任時はメッセージを発信すれば集客できると思っていた。でも正直いってCMを流してもあまり来なかった。タウン活動やサッカースクールで触れ合い、企業や行政に出掛ける、そういう活動をもっと積極的にやっていかないと。みんなを巻き込めばスポーツの価値を高めていける。
-今後、クラブやサポーターとの関わり方は。
退任してそこで途切れるわけではない。つながりがあるところにスポーツの良さを感じる。試合はできるだけ見に行きたい。そして後方支援。どういう形かは発表できるときにしたいが、組織から離れても応援団長として見守り、応援し続けられればと思っている。サッカーは自分の人生の一部になった。