MotoGPバレンシアGP:クアルタラロが初日2回のフリー走行でトップタイム。前戦ウイナーのビニャーレスが2番手に続く

 MotoGP第19戦バレンシアGPのフリー走行1回目、2回目がリカルド・トルモ・サーキットで行われ、ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)がトップタイムを記録。初日総合をトップで終えた。

 2019年シーズンの締めくくりとなるバレンシアGP。木曜日にこのバレンシアGPを最後に引退を表明したホルヘ・ロレンソ(レプソル・ホンダ・チーム)にとっては、自身のラストレースとなる。また、怪我により欠場となるミゲール・オリベイラ(KTMテック3・レーシング)の代役として、2019年シーズンはMoto2クラスを戦い、2020年よりKTMテック3・レーシングからMotoGPクラスへの昇格が決まっているイケル・レクオーナが参戦。ヨハン・ザルコ(LCRホンダ・イデミツ)は中上貴晶の代役として3戦目を迎える。

 フリー走行1回目は、気温11度、路面温度9度のドライコンディションで行われた。真っ青な青空が広がるものの、冷たい風が吹き、じっとしているとしんしんと骨身に染みる寒さだ。

 セッション序盤はマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)がトップタイムをマーク。また、序盤の時間帯にはミケーレ・ピロ(ドゥカティ・チーム)のマシンが火を噴き、消し止める事態が発生している。ただ、これは大きなアクシデントには至らず、セッションは続行された。

 中盤にかけてトップに立ったのはマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)、2番手にはマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、さらにバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)やファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)、フランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)と、ヤマハ勢が続く。

 こうした状況のなか、1度目のピットストップを終えたマルケスとロレンソが、2度目の走行にはほぼ同時にコースイン。ランデブー走行を行うシーンもあった。

 上位陣の顔ぶれに変化のないまま迎えた終盤、残り時間5分を切りロッシが4コーナーでスリップダウン。ロッシはそれまで4番手につけていたが、終盤にジャック・ミラー(プラマック・レーシング)がポジションを上げたことで後退している。

 そのミラーは残り時間2分を切って、マルケスのタイムを0.020秒上回りトップに浮上。ここまでマルケスとヤマハライダーが占めていた上位陣に、ドゥカティライダーとして1番手に切り込んだ。

 しかしチェッカーフラッグ後のラストアタックで、クアルタラロがミラーのタイムを更新。最後の最後で、トップをさらった。

 クアルタラロに続いたのはミラー、マルケスは3番手。ビニャーレスは4番手で、モルビデリは5番手。転倒したロッシを除くヤマハ勢3名がトップ5に入った。ラストアタックでジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)、ポル・エスパルガロ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)がポジションを上げ、それぞれ6番手、7番手に食い込んでいる。

 続いて行われたフリー走行2回目は、気温17度、路面温度21度のドライコンディションで行われた。午後になって気温は上昇したものの、やはり冷たい風が吹く状況だ。

 このセッションでも序盤からマルケスがトップタイムをマークする。2番手にはビニャーレス。中盤に入ると3番手にジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)、5番手にアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)がつける。

 残り1分を切ったところで、フリー走行1回目で2番手につけたミラーが2コーナーでスリップダウン。ミラーはマシンを起こしてコースに戻った。さらにセッション終盤に入ると、上位陣に動きはないもののロレンソがタイムを大きく更新。一時は10番手以内につける。

 残り時間5分を切ると、タイムの更新が相次いだ。11月のリカルド・トルモ・サーキットは気温が低く、そのなかでも気温が上がり切らない午前中に予定されているフリー走行3回目はタイムの更新が見込めないためだろう、各ライダーが柔らかめのタイヤに履き替えてアタックを行う。

 最終的にトップタイムをマークしたのはクアルタラロ。フリー走行1回目に続き、1番手タイムを記録して初日を総合トップで終えた。2番手はビニャーレスがつけてヤマハ勢がワン・ツー。マルケスが3番手に食い込み、4番手がミラー、5番手にモルビデリが入った。

 ロレンソは初日総合16番手。予選Q2への進出を果たすには、フリー走行3回目にさらなるタイム更新が必要となる。ザルコはホンダのバイクで3戦目ながら初日総合10番手。MotoGPマシン初走行のレクオーナは最後尾ポジションだったものの、フリー走行2回目にはトップとのタイム差を詰めた。

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