「全会一致で成立を」 差別禁止条例案提出向け川崎市長

差別禁止条例案の提案理由などを説明する福田紀彦市長=川崎市役所

 川崎市の福田紀彦市長は15日の定例会見で、25日開会の市議会第5回定例会に提出する「市差別のない人権尊重のまちづくり条例案」について、「全会一致での成立を目指したい」と強調した。「全ての市民が不当な差別を受けることなく、個人として尊重され、暮らすことができる街づくりを推進していく」とも述べ、改めて成立に強い意欲を示した。

 定例会見での一問一答は次の通り。

 -議会ではどのような議論を期待するか。

 「人権全般にわたって不当な差別を根絶する大切な条例。市民の関心も高い。提案する側としてしっかりと丁寧に説明していきたい。懸念は審議を通じて解消していきたい」

 -表現の自由について懸念する意見もあった。

 「表現の自由は最も大切なことの一つ。ただ、表現が何でも許されるということではなく、人権を著しく侵害することはあってはならない。確信的に3度も繰り返す行為が対象。しっかりと表現の自由に配慮した形になっている」

 -全会一致での成立の考えに変わりはないか。

 「全会一致で、市民の総意という形で成立を目指していく。市の考えを丁寧に説明していく」

 -全国で初めて、ヘイトスピーチに対して刑事罰を科す条例。最終的に罰則を科すことを決断した一番の思いは。

 「ヘイトスピーチ解消法の立法事実になった事案が発生したのが川崎市だったということもある。差別解消法にあるように地域の実情に応じた対策を打つ必要がある。実効性をしっかりと担保する上で、刑事罰を導入することにした」

 -ヘイトスピーチに苦しんでいた人の声も届いていたと思う。その声が条文にはどのように反映されているか。

 「国籍や人種、障害など全てのことに対して不当な差別がない街にしたい。いろいろな方の思いがある。その思いを条文に乗せた」

 -庁内での議論で、差別を許さないという思いは強まっていったか。

 「川崎市は多様性のある街で、そのことを誇りに発展してきた。法律や条例は本来ならなくてもいいものだ。しかし、そうした(差別の)実態がある中で、地域の実情に合わせて条例案を作った。庁内でも差別をなくしていこうという思いは強まったのではないかと思う」

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