避難所運営 日頃から

 「トイレの数が少ない」「廊下で過ごすことになると寒そう」「場所によってカビ臭い。定期的にメンテナンスが必要」。こんな意見が次々に出された。10月に長崎市立諏訪小で開かれた避難所体験会でのことだ▲災害を想定した避難訓練は各地で行われているが、避難所までの経路を確認する程度で終わっている例も多い。しかし、災害の大規模化で避難生活が長引くケースが増え、避難所の「質」が問われてきている▲そこで体験会は避難所運営について地域で考えておこうと、医療関係者らでつくる長崎災害リハビリテーション推進協議会が企画、自治会役員ら約60人が参加した▲同小では体育館と、併設の地域交流センターが指定避難所となっており、和室や調理器具を備えた研修室もある。それでも参加者からはプライバシー保護の面などで懸念が相次ぎ、「ここでは2、3日しか過ごせない」との声も出ていた▲地震や風水害に見舞われた被災地では、避難生活の負担による災害関連死の報告が絶えない。心身のストレスを軽減し、人間らしい、自分らしい生活を送れるような環境づくりが不可欠だ▲そのためには事前に1泊してみたりすると、より具体的に避難所の課題が見えてくるかもしれない。難を逃れた先の困難も予測し、備えを万全にしておきたい。(久)

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