紫外線で見た木星は、華やかなパステルカラーだった

近紫外線で見た木星画像は、可視光で見た画像の色を単に変えただけではありません。その理由の1つは、木星の雲の高さや緯度により太陽の光を反射する量がはっきりと異なるためです。近紫外線では画像の通り、木星の北極・南極が比較的暗く見えています。有名な大赤斑も、また可視光では白っぽく見える「オーバルBA」(画像の中央からやや下にある楕円形の構造)も同様です。一方で、可視光で白い渦が3つ連なっているように見えることで知られた「真珠の連なり」(String of Pearl)と呼ばれる嵐は画像の右側のほうに見えますが、近紫外線ではもっとも明るく、擬似カラーではピンク色で表現されています。なお、木星の「月」(衛星)でもっとも大きい「ガニメデ」が左上のほうに映っているのもわかります。

木星といえば赤茶色や白の入り混じった映像を思い描きますが、紫外線で見ると幻想的な雰囲気となるだけではなく、明暗の場所も可視光とは異なることがわかります。可視光での画像と細かく比べてみると面白いかもしれません。ジュノーもまだまだ観測を続けていますので、そちらの成果・画像も楽しみです。

関連:木星探査機ジュノーが捉えた巨大嵐の連続写真

Image Credit: NASA, ESA, Hubble; Processing & License: Judy Schmidt
Source: NASA
文/北越康敬

© 株式会社sorae