石木ダム反対の13世帯 18日、明け渡し期限 行政代執行が可能に

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、物件を含まない土地が対象だった9月19日に続き、反対住民13世帯の家屋などの物件を含む土地が18日、土地収用法に基づく明け渡し期限となる。反対住民は明け渡しに応じない構えで、今後、物件の撤去などの行政代執行について中村法道知事がどう判断するかが大きな焦点となる。
 同事業を巡っては県収用委員会が5月、地権者に未買収地約12万平方メートルを明け渡すよう裁決。明け渡し期限について、物件を含まない土地(約1万5千平方メートル)は9月19日、物件を含む残りの土地は今月18日とした。約12万平方メートルは既に県と同市が土地の権利を取得しており、明け渡しに応じなければ県と同市は、家屋の撤去などの行政代執行を中村知事に請求できる。行政代執行に踏み切れば、国内のダム事業では初の事例となる。
 ダムに水没する県道の付け替え道路工事現場では、住民らが連日座り込みで抗議。このため、工事が遅れているとして、県は9月、ダムの完成目標を2022年度から25年度に延期する方針を決め、諮問を受けた県公共事業評価監視委員会も承認。県は近く、延期を正式決定する見通し。当初1979年度だった同事業の完成目標の延期は9回目になる。県側は延長で住民との交渉を進めたい思惑もあるが、住民は「明け渡しを前提とした話し合いには応じない」とし、交渉の糸口は見えない。
 明け渡し期限を前に、反対住民らは17日午後1時半から、川棚町中組郷の町公会堂で「石木ダムを断念させる全国集会」を開く。参院議員で前滋賀県知事の嘉田由紀子氏らが講演する。

© 株式会社長崎新聞社