ピラミッド組み体操、今年も骨折事故多発 タワー崩れ・着地失敗も

【資料写真】京都府内の小学校で披露された組み体操の7段ピラミッド(2011年撮影、画像は一部加工しています)

 運動会の組み体操が揺れている。けがが多いため、近年は内容を見直す学校が増えている。京都新聞社が組み体操について京都府内の全自治体の教育委員会に取材したところ、2019年度は少なくとも骨折事故が6件起きていたことが分かった。自治体によって実施状況には差があるが、多くは慎重姿勢に転じている。

 骨折は京都市で2件、木津川市で2件、城陽市と京田辺市で各1件あった。
 京都市では、小学校で児童が倒立の練習中に足の指を骨折し、中学校でも練習中に3段タワーが崩れて1番上の生徒が右肘を地面に強打して骨折した。木津川市では、技の練習中にバランスを崩して手の指や肘を骨折するけがが2件あったという。
 このほか、城陽市では6人組でピラミッドの練習中、最上部にいた児童が足を滑らせて落ち、右肘を骨折。京田辺市では1人技の時に左手を地面につき損ねて小指を骨折した。
 18年度も骨折は京都市で5件、木津川市と京田辺市で各1件あった。倒立や肩車などの技の練習中に起きていた。
 ピラミッドやタワーがある組み体操の実施状況はばらつきがあった。向日市や綾部市、京丹後市、伊根町、与謝野町、宇治田原町は実施する小中学校がなかった一方、城陽市や八幡市、精華町、大山崎町は全ての小学校で行っていた。ほかの自治体では一部の学校が取りやめていた。
 いまだ組み体操を続ける学校も多いが、多くはガイドラインを設けたり、スポーツ庁による事故防止の通知を準用したりして慎重に取り組んでいる。城陽市はタワーは禁止し、八幡市は「最上段に乗る者以外の両足が必ず地面についていること」と定めている。精華町も「校長会で高さを伴う危険性が高い演技は取りやめることや教職員の補助体制を整えることなど安全確保を徹底している」とする。
 組み体操は運動会の花形として続いてきたが、毎年どこかの学校で骨折が発生している。地域や保護者の要望があっても、それに左右されない冷静な実施の判断が学校に求められる。

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