地理的条件はコールの決断に影響を与えるのか 本命はエンゼルス?

今オフのフリーエージェント市場における最大の目玉であるゲリット・コール。その争奪戦において、コール獲得の大本命と目されているのがエンゼルスである。コールの地元であること、エンゼルスがエース級のエースを必要としていること、オーナーのアート・モレノが補強に大金を投じる意思を見せていることなどがその理由だが、「地元」という地理的条件はコールの決断に影響を与えるのだろうか。

MLB公式サイトのリチャード・ジャスティスは、エンゼルスとコールの関係を「フリーエージェント市場で実現し得る契約としては完璧に近いものである」と表現。コールは大金を得て地元球団でプレイすることができ、エンゼルスは念願のエースを獲得することができるため、両者にとって理想的な契約であるというわけだ。

しかし、本命視されている球団が必ずしもその選手の獲得に成功するわけではない。昨オフも、ニューヨーク出身のパトリック・コービンはヤンキースと契約することが有力視されていたが、ヤンキースはナショナルズが提示した6年1億4000万ドルに対抗するオファーを提示せず、コービンはナショナルズと契約して今季のワールドシリーズ制覇に貢献した。

コービンの例のように、金銭面での条件も選手の決断を左右するファクターとなるが、コールの代理人を務めるスコット・ボラスは、コールがその他の様々な条件と同様に「勝てるチームであること」を重要視していることを強調する。「地理的条件は、チャンピオンリングを獲得するという目標を継続的に狙えるチームであることほど重要であるとは思わない」とボラスはGM会議の場で発言。「コールの場合も同様で、私はコールがその目標を達成できるように最善を尽くすよ」とあくまでもワールドシリーズ制覇が最重要であることを明言した。

コールがエンゼルスに加入すれば、マイク・トラウトとの「投打のスターコンビ」は非常に魅力的なものとなり、チームをポストシーズン進出を狙える位置へ押し上げる可能性もある。しかし、今季のエンゼルスは72勝90敗に終わっており、コール1人の力でワールドシリーズ制覇へ導くことができるとは考えにくい。ボラスの発言通り、コールが勝利を優先するのであれば、エンゼルスが本命となることはないのかもしれない。

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