徹底調査を基に活用を 長崎県庁跡地考えるシンポジウム

県庁跡地について学識者ら5人が講演したシンポジウム=長崎中部講堂

 16世紀の長崎開港以来、重要施設が置かれた県庁跡地(長崎市江戸町)の歴史的価値を考えるシンポジウム(長崎県庁跡地遺構を考える会主催)が17日、同市内で開かれた。同跡地で現在、県教委が埋蔵文化財調査を進めているのを受け、登壇者は調査結果を踏まえて跡地活用の議論を深めるよう訴えた。
 同跡地は江戸幕府による禁教令以前、キリスト教布教の国内拠点だった「岬の教会」があり、禁教後は長崎奉行所などが置かれた。同市による文化芸術ホール建設などを目指す県の跡地活用計画に対し、県内外の有識者らでつくる同会は歴史的価値を重視するよう訴えている。シンポ開催は6月以来2回目で約300人が来場、イエズス会日本管区長のデ・ルカ・レンゾ氏ら学識者5人が講演した。
 県埋蔵文化財センター元課長で、県内の発掘に多数関わった宮崎貴夫・前県考古学会副会長は「埋もれた歴史は長崎文化の基層。岬の教会跡が発見されれば、どれほどの経済効果があるか」と調査の進展に期待を示した。
 シンポのコーディネーターの一人で長崎大の野上建紀教授は「(県教委の調査により議論の)最後の材料が集まる。その上で遺跡は誰のものか、皆のものにするにはどうするかを考えるべきだ」と述べた。
 長崎県庁跡地遺構を考える会共同代表の一人、高見三明カトリック長崎大司教はあいさつで「徹底した調査を基に(跡地の)利用を皆で考えたい」と述べた。

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