ホンダ本橋CE決勝後インタビュー:「ワンツーはホンダもステップアップしている実感が湧く大きな結果」/F1ブラジルGP

 2019年F1第20戦ブラジルGP決勝で、トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーが2位表彰台を獲得。第11戦ドイツGPのダニール・クビアト3位に続いて2019年シーズン2度目の表彰台を飾った。望外の結果となった今週末のレースをトロロッソ担当のホンダ本橋正充チーフエンジニアが語った。

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──今シーズン2度目の表彰台。しかも今回は2位です。本橋正充チーフエンジニア(以下、本橋CE):本当にうれしいですね。金曜からトラブル続きだったのでそれを克服してのレースだったし、ずっと集中力を切らさずに走ってくれて、最後の鼻差はしびれましたね!

──第16戦ロシアGPでの2基目のスペック4を入れていたのが、こういうところで有効に働きましたね。本橋CE:いろんなセッティングを試して、さらに現場で最適にセッティングしてきた結果だと思います。取りこぼしなくやってきた成果が出ました。

──ファイナルラップの最後の4つのコーナーは、ガレージはもう総立ちでしたか。本橋CE:立ち上がる寸前ですよね。いけーみたいな感じでしたね。

──(ルイス・)ハミルトンと(アレクサンダー・)アルボンが接触してガスリーが抜きました。あの瞬間、表彰台にいけると思いましたか。本橋CE:いや、レースなので最後まで気は抜けませんでした。

──ファイナルラップでガスリーが2位。ハミルトンに抜かれても3位じゃないですか。確実に3位という気持ちはなかったですか?本橋CE:もちろん2位です。守りに入ることもなく、ドライバーも最後までリスタート含めて集中力を保ってくれた。ドライバー、チーム全員が一つでも上と思って戦っていました。

──ガスリーは予選から調子がよくてずっとベスト・オブ・ザレストのトップで走ってましたよね。やはりクルマが良かった?本橋CE:そうですね。今週末は大きく天候が変わってきたんですけど、チーム側のセッティングも機能してくれましたし、ドライバー側もうまく乗れていました。金曜日にトラブルが少し出たのは残念ですけど、全体としてはコンペティティブな週末を過ごせたかなと思います。

──シーズン2回目の表彰台は正直想像してましたか?本橋CE:正直厳しいかなと思っていました。調子はだんだん上がってきているとはいうものの、トップ3が速いので厳しいと思っていました。ただ最後まできちんと走りきる、ドライバー、チーム含めて走りきることの大切さを改めて思い知らされました。

2019年F1第20戦ブラジルGP決勝 ルイス・ハミルトンはセーフティカー後にピエール・ガスリーをオーバーテイク

■トロロッソに戻って成長したピエール・ガスリー

──本橋さんから見て、トロロッソに戻ってきてからのガスリーに成長や変化は感じますか。本橋CE:慣れ親しんだチームというのがあって、伸び伸びやっていたのかなと思います。去年から築き上げてきた信頼関係のなかでいい関係にすぐに戻ることができたので、あとはクルマに馴れるだけかなと思っていました。

 クルマに馴れるまで時間がかかりましたが感覚とかはすぐに取り戻してくれた。もともといい関係を築いていたことが、セッティングなどに反映できているのかなと思いました。

──本橋さんはトロロッソのチーフエンジニアであると同時に、ホンダの副テクニカルディレクターでもあります。このワン・ツーはホンダにとって……。本橋CE:大きいです! 本当に大きいです。ドイツGPでワン・スリーというのがあったんですけど、やっぱりワン・ツーは僕らホンダもステップアップしている実感が湧く結果です。大きく一歩踏み出せたなと思います。

──ハミルトンに並ばれても、抜かれなかったのがさらに2位の価値を大きくしていますね。本橋CE:あれは大きい。ドライバーも頑張ってくれましたし、ホンダも進歩したことを証明できたのかなと思いました。車体も終始良かったので人もマシンもパワーユニットも全部出し切って逃げ切れたのかなと。

──HRD Sakura(栃木県の本田技術研究所)には伝えましたか。本橋CE:HRD Sakuraとは、ずっとリアルタイムで繋がってるから、伝わっています。

──やったぞ!っていう感じですか。本橋CE:いや、やっぱり、ありがとうございますでしょうね。(HRD Sakuraの)みんながサポートしてくれてるので、僕らが現場で戦える。HRD Sakuraのみんなとともに勝ち取ったワン・ツーです。

ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
2019年F1第20戦ブラジルGP ピエール・ガスリーの2位表彰台に喜びに沸くトロロッソ・ホンダスタッフ
2019年F1第20戦ブラジルGP決勝 ピエール・ガスリーの2位で盛り上がるホンダ本橋正充チーフエンジニア

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